Kawasaki“B8M”のカッコよさ
4stミニに注目するきっかけでした
はじめまして、Virgin Bike編集部のターミーと申します。今回から、私が4stミニについてのコラムを担当させていただくことになりました。大型バイクの記事が中心のVirgin Bikeで「なぜ4stミニの記事なの?」と思うかもしれませんが…単純に私が4stミニに目覚めたから、が理由です(笑)。10代の頃にNSR80のエンジンを積んだHonda NS-1に乗っていたことはあるものの、それ以降は400cc以上の大きなバイクばかりを乗り継いできました。しかし、とあるバイクに出会ったのがきっかけで、これまで見向きもしていなかった4stミニに夢中に。以前からKSRやAPEなど4stミニが盛り上がっていることは知っていました。ただ、車体が小さすぎるので大柄な私には似合わないし、乗りにくいと思っていたんですね。周囲の大型バイクに乗る仲間がセカンドバイクにハンターカブやXR100モタードなど購入し、メインバイク以上に小排気量車に夢中になっている。そんな様子を見て「小さいバイクも面白いのかな」と気になるようにはなっていましたけれど…。私が4stミニの世界に足を踏み入れるきっかけになったのは、兵庫県神戸市にある「神戸海洋博物館」に遊びに行ったのがきっかけです。ここには「カワサキワールド」という川崎重工グループの歴史がわかるコーナーがあり、歴代のカワサキのバイクが展示されています。ここで「B8M」という旧いトレールバイクを見かけ「レトロでコンパクトなバイクもいいなぁ」と思うようになりました。普段大きなバイクばかり見ているせいか、小ぶりのB8Mは非常に新鮮で、単純にカッコいいと思えたんですね。
B8Mをカッコいいと思ったものの、ただ小さければいいと思ったわけではありません。現行の小排気量モデルで「プライベートで欲しいバイク」は残念ながらなかったので、4stミニを手に入れようと動きはじめることはありませんでした。60年代に未舗装の道で活躍していたヴィンテージレーサー、そのスタイルが気に入っただけだったんです。そんなときに知り合いのショップで出会ったのがこの「CB125JX」でした。1970年代にHondaから発売されていたシングルバイクがベース車輌です。ただ、お店で出会ったときにはすでにノーマルパーツはフレームしか残っていませんでしたけれど。それでもB8M以来ヴィンテージレーサーが気になっていた私は、一目惚れで手に入れてしまったのです。エンジンはTL125、ホイールは旧いCB400FOUR用などとフルカスタムと言っていい状態でしたが、手頃な値段で理想的なスタイルのバイク。状態がどうの、などはどうでもよく、細かなところは後から手を入れればいい、と思って購入しました。
CB50エンジンをベースに
APEパーツでチューニング
2007年のゴールデンウイークの真っ只中、このCB125JX(以下、CB125)を引き取りに兵庫県から神奈川県のショップまで足を運びました。エンジンの状態や消耗品の具合などは「兵庫県に帰る道中で確かめればいい」と考えて、自走で兵庫県まで。ツーリングも兼ねての引き取りでしたから、神奈川から長野県を越えて一度富山へ、そこから兵庫県へ戻るという納車ツーリングとしてはやや長めの1000km以上のツーリングとなりました。しかし、これだけ長い距離を走れば、これから改善したいポイントがいくつか見えてきます。1点目がエンジンが非力だということ。もともとはトライアルバイクですから、街中をそこそこのスピードで巡航するのは得意ではないのは覚悟していましたが…。坂道の多い神戸(私の住む街です)で日常的に使用するには、このエンジンでは使い勝手が悪かったのです。それにTL125の配線は6Vでしたから、市販の電装系パーツの流用ができずメンテにも不安がありました。ややクラッチが滑り気味だった、というのもあり、神戸に戻って外装のスタイルはそのままにエンジンを乗せ換えることにしたのです。
乗せ換えで選んだエンジンはAPE。正確には古いジャンクのCB50のエンジンをベースにAPE100のチューニングパーツを組み込む、という手法です。オークションではAPEのエンジンはそこそこの値段がするため、カスタムをお願いした「motorsquareRAT」の代表 長谷川さんがCB50をベースにするアイデアを提案してくれました。編集部の近くでショップを営む長谷川さんは、小排気量〜大排気量まで国産車〜輸入車まで幅広く扱える方。4stミニを手がけた経験も豊富で、エンジン載せ換え手法は完全にお任せで作業をお願いしました。私からのオーダーは以下のとおり。
空冷のシングルエンジンであること
小排気量の空冷シングルはエンジンの造形が非常に美しいので、シングル以外のエンジンを拾ってくることはまったく考えませんでした。
排気量は125cc以下であること(税金とナンバーの関係で)
排気量は125cc以上のモノも、載せることは可能だったかもしれません。しかし大型バイクで入っている某社の任意保険ではファミリーバイク特約のプランがあり、125cc以下のバイクなら保険を追加する必要がなかったんですね。バイクの任意保険にファミリーバイク特約があることは、あんまり知られていないようですが、ありがたいですよ〜。
消耗品などのパーツがどこでも手に入ること
どこでトラブルにあっても対応しやすいように、です。小排気量のバイクですが、乗り始めるとあちこちに出かけることになるでしょうから。その点、APEのパーツなら全国どこのパーツ量販店にも置いていて、トラブル時の対応もしやすいかな、と。カスタムパーツも豊富なため、自分仕様に遊ぶこともできそうでしたし。パーツも大型の世界に比べると、驚くほど安いんですよね。
チューニングを体感しやすい
それが4stミニの魅力
「motorsquareRAT」で始まったエンジン載せ換え作業は、着々と進んでいきました。週に何度も進行状況を見にお邪魔しては「あーでもない、こーでもない」と、細かな部分を話して作業は進みます。作業を見学していて面白かったのは、1つ1つのパーツが小さくてシンプルなこと。排気量が小さいので当たり前のことなんでしょうけれど、パーツを組み込んで行く過程もまるでパズルを組んでいってるように見えました。10代の頃、友人と家の駐車場でNS-1をイジっていた頃を思い出します。手軽に(経験と知識は当然要しますが)イジることができ、パーツも手頃、それが4stミニが盛り上がっている理由の1つなんでしょうね。今回はたまたまAPEエンジンを載せましたが、40年以上の歴史を持つHonda「Monkey」でも古くからチューニングは盛んです。
これまで、その存在は知っていたものの「4stミニって何が面白いんだろう?」と思っていたワタシ。長谷川さんに「4stミニの魅力ってどこにあるんでしょう?」と聞いてみると「チューニングの変化が体感しやすいことも魅力の1つですね」と。大排気量のバイクでは敏感な人以外、チューニングでの性能向上の変化はほとんどわからないものです。スムーズに吹け上がる性能アップのチューニングを行っても「変わらない」や「遅くなった」と感じる人が多数いるという話も耳にします。わざと少し性能を落とし、エンジンの吹け上がりなどに谷を持たせることで「速くなった」ような気がするのが、大排気量バイクのチューニングではありがち。ノーマルでギリギリの性能を引き出してしまっているので、チューニングで加味できる性能は限られてしまうのです。その点、小排気量バイクはチューニングすれば明らかに体感できる変化があるのだとか。キャブレター1つ、マフラー1つを交換するだけで、ガラっと変化してしまうそうです。そこに魅力を感じ、大排気量バイクから4stミニに乗り換える人、メインバイクが4stミニになってしまう人が増えてきているのでしょうね。ツーリングや旅に4stミニは少々辛いでしょうけれど。街乗りやショートツーリング程度なら4stミニの軽快さ、燃費の良さは大排気量に勝る魅力にもなります。4stミニを知らないバイクライフを送ってきた方、4stミニの世界は面白そうですよ。Honda、YAMAHA、SUZUKI、KAWASAKIだけでなく、輸入バイクのラインナップにも4stミニは用意されています。一度、各メーカーのWebサイトを眺めてみてくださいな。
さてさて、エンジンを載せ換える作業は順調に進みました。CB50のエンジンカバーはあえてあまり磨かずに、やれた感じを残しています。ピカピカのバイクに乗りたいわけじゃなかったので。電装系もAPE用パーツを流用し、12V仕様になりました。ヘッドライトが明るくなったのが非常にありがたいですね。特に問題なく進んだ作業でしたが、納車された今も苦しんでいるのがセッティング。もともと50cc用マフラーがついていたため、マフラーの抜けが悪く、チューニングされた115ccエンジンの本来の性能が発揮できていません。細かなセッティングは慣らし運転が終わってから行うつもりですが。ヴィンテージレーサーの雰囲気を壊したくないため、マフラー選びが難しい…。現行APE用マフラーには私のマシンに似合うものは1本もありません。レーシーなスタイルのサイレンサーは使いたくないんですね。
APE用マフラーを使えば手っ取り早いのですが…ここは譲れないところです。スタイルだけではなく、音量にもこだわってみたいんです。「抜けがいい=うるさい」になるのかもしれませんが、日常的に走り回るためのバイクです。できるだけ静かなマフラーで、セッティングがそれなりに出せるものを取り付けようと思います。JMCA対応と謳っていても、傍から聞いていると「これはちょっと…」というマフラーも結構あります。モノは試し、ですからSRやエストレヤなどの中排気量のシングルマシンのノーマルサイレンサーを使用して、静かなマフラー製作にチャレンジしてみます。第1回目の4stミニコラムはひとまずここまで。今は慣らし運転のため、日夜近所を走り回っているところです。次回コラムでは生まれ変わったCB125JXのインプレッションと、マフラーの製作過程などを紹介する予定です。では、次回をお楽しみに!