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満を持して登場したR1200R ロードスターという名を冠するBMWは、91年に初めて登場した。まだOHVエンジンを搭載していたR100Rが、最初のロードスターと呼ばれるモデルだった。それからR1100R、R1150Rを経て4世代目のロードスターが今回紹介するR1200Rとなる。当初は同じRシリーズの他モデルを仕様変更し、ネイキッドスタイルにしたBMWのエントリーモデルがロードスターだった。しかし世代を経て、ロードスターモデルのファンが増えるにつれ、ロードスターは単なるエントリーモデルという扱いではなくなっている。現在ではBMWラインナップの中では“アーバン”モデルに位置づけられており、ストリートからツーリングまでオールマイティに活躍する人気モデルとなっている。また、R1200Rは現行のBMW Rシリーズの中では最後に登場したモデルであり、まさに“満を持して”発表された期待すべきBMWモデルとも言えるだろう。 シンプルながら多機能
標準仕様ではないが、ASC(オートマチックスタビリティコントロール)やESA(電子調節式サスペンション)という画期的なシステムもオプションで選択が可能だ。ASCとはABSでのブレーキのロックだけでなく、リアホイールの空転まで抑えることができるシステム。万が一のときに大いに役立つ機能だ。またESAは走行シーンに合わせて、手元のスイッチでサスペンション設定を変更することが可能なシステム。路面状況に合わせて常にベストなマシン環境の中、ライディングを楽しめる機能が選択可能なのだ。バイクの世界でここまでの機能を搭載する市販マシンはBMW以外には見当たらない。一見シンプルなネイキッドスタイルマシンと思いきや、R1200RにもBMWならではの多機能が搭載されているのだ。
ポジションの良さはBMWイチ
水平対向エンジンを採用するRシリーズには、R1200R以外にも複数のモデルがあり、出力やポジションなどはそれぞれに個性が付与されている。その中でもR1200Rのバランスの良さはベストだ、と個人的に思う。まず、最も気に入っているのが負担の少ないライディングポジションだ。他のBMWだと、やや前傾気味の姿勢を求められるモデルが多いものの、R1200Rのポジションは絶妙だ。ハンドルはちょうど胸の少しした辺りの高さにあり、体からも遠くない。自然に手を伸ばしたところにハンドルがあり、背筋を伸ばして乗車できるので気楽に運転ができる。前傾姿勢でのライディングが辛いというわけではない。ニーグリップして下半身に体重を預ければ、前傾のバイクでも体の疲れはさほど気にならないもの。ただ、前傾姿勢だと「走らなきゃ」と急かされるような感覚になってしまうので、R1200Rのアップライトなポジションは気楽に乗れるので私にはちょうどいい。気楽に乗れるポイントはもう1点ある。取り回しの軽さだ。装備重量は230kgと特別軽いものではないのだが、スタンドをかけた状態からの車輌の引き起こしや、跨ったままでの車輌の移動は非常に軽い。力に自信のない人でも取り扱いには困らないバイクだ、これは。
走りはじめればR1200Rのオールマイティーさに驚かされる。BMWなのでテストは高速で、と街中でのインプレにはあまり時間をかけるつもりはなかったのだが、R1200Rの秀逸さは渋滞の中でも光った。大型バイクはその重い車重のために低速でどうしてもフラフラとバランスを崩してしまうことがあるが、R1200Rはその点も優秀、超低速で走行しても安定感がある。もう1点気づいたのはエンジンからの熱気をあまり感じないこと。水平対向エンジンのRシリーズの場合、左右の足の前にエンジンがあるため、真夏だとエンジンからの熱気が足元に襲ってくる…これまで試乗したモデルはそうだった。しかし、R1200Rでは熱気が気にならない。エンジン前方に取り付けられたオイルクーラーのおかげか? 真夏の熱気はうんざりとするものだが、足元の熱気が気にならないのも嬉しいものだ。
渋滞を抜け、快走路を走りはじめると先ほど紹介した車体の軽さが本領を発揮しはじめた。車線変更はヒラヒラと、右に左に思い描いた通りに軽快に動いてくれる。コーナーの面白さは予想以上だった。車体重量が軽く、寝かしても恐怖感がないため、頭で思い描いたラインより小さな円を描いて旋回できてしまう。これはR1200Rに限った話ではないが、BMWに乗ると運転がうまくなった気になる。もちろん乗り手のスキルがアップしているわけではない。乗り手をBMWがカバーしてくれ、これまで以上の走りを見せてくれるようになるのだ。ABS搭載が当たり前のBMWなので、ブレーキには何の不満もなく思い切ったブレーキング操作を行ってもタイヤがロックすることはない。BMW独自のテレレバー、パラレバーサスペンションのおかげでブレーキ操作でフロントサスが沈むことがなく、体が前のめりになり恐怖感を感じることはない。どこまで倒してもタイヤの接地感が充分に感じられ通常走行でヒヤリとする場面もない。乗っていて「怖い」と思う場面がほとんどないのがBMWのスゴイところだ。BMWらしからぬ、スッキリとしたネイキッドスタイルでありながら、BMWに当たり前に搭載されている機能を持つモデル、それがR1200Rだ。市販のネイキッドモデルとR1200Rを比較するのは…他のメーカーがかわいそうになってくる。 怖さのないスポーツモデル 風防性能の高い他のBMWとは違い、風を存分に楽しみたい人に人気なのがR1200R。かといって高速走行が苦手というとそうではない。本国では、アウトバーンを超スピードで駆け抜けるライダーにも支持されていることからわかるように高速性能はお墨付き。法定速度を遥かに越えるスピードで走行しても車体に不安感は感じられず、スロットルを回すほどに力強い加速を見せてくれる。しかもいくら飛ばしても、高速でコーナーに侵入しても恐怖感がない。ベテランライダーでR1200Rを楽しむ人も多いが、バイク経験は浅いがスポーツライディングを楽しみたい方、久しぶりにバイクに戻ってきたリターンライダーにもR1200Rはオススメ。技術の高低に関わらず、スポーツライディングを存分に楽しめるモデルなのだ。 どこまでも余裕を持った走りを これまでBMWに見向きもしてこなかった人に、ぜひ試乗してもらいたいBMWがこのR1200Rだ。BMW伝統の水平対向エンジンでありながら、スッキリとしたこのスタイルはメーカーの好みを越えて万人に受け入れられるモデルだろう。R1200Rの魅力は細かくあげていけばキリがないけれど、あえて一言でまとめるなら「常に余裕を持って運転できること」だ。高速で飛ばしているときも、ワインディングを攻めているときも、ギリギリの技量で走ってしまうことはない。コーナーを曲がりつつも路肩に咲く花を見る余裕がある、そんなバイクなのだ。これまでスポーツライディングばかりを楽しんできた人がR1200Rに乗れば、これまでと同じ走りをしながらも周りの景色をこれまで以上に楽しめるはず。余裕を持った走りを見せる、R1200RだけではなくBMWの魅力はそんなところにある気がする。ギリギリにスリルを感じるライディングは疲れる。そんなバイクの楽しみ方ではバイクと長年付き合っていけないもの。ベテランライダーにBMWを選ぶ人が多いのは理由があるのだ。 BMW Motorrad R1200R
DATA-- ■エンジン=空油冷4ストローク水平対向2気筒 1169cc |
編集部員 ターミー 数々のバイクを乗り継ぎ現在はハーレー「スポーツスター」、BMW「R80」、YAMAHA「SR」を所有するただのバイク馬鹿。これまでシングルかツインにしか乗ったことがなく、やや偏食気味なのが気にかかるところ。これからの成長を期待する。
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