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最新技術とBMWらしさの融合 個人的で恐縮だが、私にとってのBMWはボクサーツインではなく、水冷4気筒の古いKシリーズK100だった。もちろん、伝統的なボクサーツインもいずれは欲しいと思っているが、ロングツーリング、それも1日1000kmを超えるようなグランドツーリングでは、頼もしさ、たくましさにおいて、BMWのKシリーズの右に出るものはないと思っている。そんなKシリーズが1200ccになったとき、日本製スーパースポーツを意識したのか、ツーリングにおける快適性、利便性が犠牲になったようで、私の中では少しツーリングモデルとしての魅力が薄らいでいた。しかし、今のK1200GTが発表されたときに、久しぶりに「これだ!」と感じたのである。それだけに、今回の試乗はいつもに増して期待がふくらみ、事前にある程度距離が走れるルートを練り、無理を言って前日から車輌をお借りしたくらいなのである。
BMWといえば左右に張り出したシリンダーヘッドを持つ水平対向2気筒の「ボクサーツイン」エンジンが有名。創業以来80年以上に渡ってこのスタイルを守り続けているが、実は1980年後半に一度、BMWではBMW Motorradの将来を見据えて、ボクサーツインの伝統を終わらせる決断をしたことがある。そしてBMW Motorradの新しいあるべき姿として生まれたのが、直列4気筒エンジンを搭載するKシリーズだった。当時の乗用車のエンジンをベースに生まれた直列4気筒エンジンは、燃料系にインジェクションを採用するなど、当時としては革新的な技術が用いられ、来るべき21世紀に向けた新しいモーターサイクルの姿としてBMWが打ち出した答えだった。Kシリーズはその後、排気量を1000ccから1100cc、そして1200ccまで拡大。そして2004年にはそれまで進行方向に対してクランクを縦に置いたレイアウトを一新し、日本製4気筒スポーツバイクのような進行方向に対してクランク軸を横向きとする並列4気筒のレイアウトとなる。このエンジンはF1のテクノロジーを投入することで167馬力を発揮し、競争が激しいオーバーリッタークラスで他に引けをとらないパフォーマンスを獲得した。新世代ともいえるこのKシリーズは、最初にスーパースポーツのK1200Sとして登場し、その後ネイキッドバージョンであるK1200R、そしてハーフカウルを装備するK1200R Sportが追加される。今回紹介するK1200GTは、文字通りこの新世代Kシリーズのグランドツーリングモデルである。 落ち着いた雰囲気を持つ
直線的な面と線で構成されるカウルは、しっかりとした風防効果を持ち、電動で角度を調整できるスクリーンを備える。ハンドルはトップブリッジ上に高さが可変できるマウントで固定され、ライダーの体格に合わせた位置に調整可能。約24リットルの容量を持つタンクはシートにかけて穏やかなラインを描き、ライダーに適度な自由度があるのを感じた。たっぷりとした厚みを持つシートは、ライダー、パッセンジャーに独立しており、それぞれシートヒーターをオプションで選ぶことができる。テールカウルの左右には、ボディ同色に塗装された完全防水のパニアケースを標準装備。マフラーがアップタイプのKシリーズでは左側のパニアケースの内側が大きくえぐられているが、このK1200GTのマフラーはパニアケース下をまっすぐ後ろに伸びるため、左右で同じ大容量を確保している。また、先代のK1200GTではトップケースを付けられなかったが、新世代K1200GTはR1200RTと同様の大容量トップケースも搭載可能だ。このほか、オートクルーズやボードコンピューター、電気可変式サスペンション「ESA」にトラクションコントロール「ASC」など、旅を快適にしてくれる装備をオプションとして装備することが可能。事実上、K1200LTに変わるR1200RTのアッパーレンジを受け持つ、本格的なグランドツアラーとなっている。
乗長距離を走るには弱点なし
一度にかなりの距離を走る人なら 地続きで何千キロというロングツーリングができるヨーロッパと違って、島国の日本では長距離ツーリングといってもそのスケールには限りがある。勢い、ロングツーリングというと走りを忘れて、温泉や食といった観光主体のツーリングになってしまいがち。しかしそれでも、何年もツーリングを重ねていると近場には行き先がなくなってくるもの。そんなときに、高速道路を使って一気に遠くまでワープして、そこにある未知の土地を走るようなスタイルのツーリングがしたくなる。こうした、“高速道路で一気に遠くへ”というスタイルのツーリングに、K1200GTは頼もしい存在だ。遠くの目的のエリアで走ることを楽しむ余力をたっぷり残した、快適な道中の高速ワープ可能になる装備をたくさん備えている。特にオートクルーズによって無駄なアクセルワークワークから開放され、ちょうどいい位置に調整したウインドスクリーンによって、不快な風きり音もない快適な世界。決して快適がダルな方向に向かうのではなく、次なる可能性につながるのがK1200GTの快適さだ。 試乗前から気になっていたが 結局、今回の試乗は、日帰りで伊豆半島を海沿いにきっちり一周して450kmという、たっぷりK1200GTの良さを堪能できる旅となった。もちろん、一日走り終わらなくても、すでに伊豆に入るあたりから、「ン、なんかこれはいいゾ」と好感触を得ていたのも事実。以前にK1200Sを試乗したときの印象からどうしても「急かされるバイク」というイメージがあったが、K1200GTはそれを覆い尽くす、グランドツーリングへのいざないを感じさせてくれるバイクだった。今回、試乗車をお借りしたBMW Motorrad Tokyoに戻ってきて、開口一番、「これっていくら?」と思わず聞いてしまった私。しっかり見積もりをいただきそうになってしまった。K100を知って20年、実際にKシリーズのオーナーとなって13年。次のツーリングバイクは、これで決まりなのかもしれない。 BMW Motorrad K1200GT
DATA-- ■エンジン= 4ストローク水冷横置き直列4気筒 1156cc |
八百山ゆーすけ バイク、カメラ、ケータイ、パソコンなど、幅広いジャンルを手がけるライター/編集者。“公称身長160cm未満”を生かし、女性や小柄なライダーに役立つ視点を持つ。長距離ツーリングからサーキットまでどっぷりバイクライフに漬かる人生。 住所:東京都港区赤坂2-10-10 営業:9:00〜19:00 電話:03-3582-3231 休日:月曜日 第一、二火曜 住所:東京都渋谷区笹塚1-50-16 営業:9:15〜18:00 電話:03-3468-6841 休日:月曜日 第一火曜
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