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30年続くBMW RTシリーズ ツーリングバイクの代名詞ともいえるBMW。その中でもロングツーリングを志向するライダーのために用意されたのが今回紹介するR1200RTだ。BMW Motorradの各モデルは、R、K、Gなどのシリーズの後に排気量、そして最後にRTなどのタイプを表す記号を持っている。ツアラーファミリーのRT、ST、GT、LTの2文字目はいずれもTour(ツアー)を意味しているが、RTの「R」はそこにドイツ語で旅行を意味する「Reisen」を加えたもの。このモデル名が示唆するとおり、R1200RTはよりロングレンジのツーリングを楽しむためのモデルとなっている。RTの名を冠するモデルは1978年のR100RTが初代で、その後K100やK75シリーズにもRTモデルがラインアップされた。4バルブの新世代ボクサーエンジンを積むR1100シリーズの1モデルとして、R1100RTが。2001年には排気量を1150ccに拡大したR1150RTにビッグマイナーチェンジ。そして、1200ccとなった新世代の“EVO”エンジンを搭載するR1200シリーズのRTとして生まれたのがこのR1200RTだ。このように、R100RTの誕生から30年以上に渡って脈々と受け継がれている「RT」というモデル。いずれもロングレンジのツーリングを快適に楽しめるよう、ライダーに負担の少ないポジションや大型のフェアリングとスクリーン、そして大容量のラゲッジスペースを備えている。しかし、こうした長距離ツアラーを、決して安楽なだけの乗り物にしないところがBMWの哲学。高回転型のボクサーエンジンや、テレレバーやパラレバーといったテクノロジーで、バイクとしての積極的な走りの楽しみを忘れていないのがR1200RTなのである。 大柄なフェアリングが目立つものの
バイクとしての基本コンポーネントは、低重心の水平対向2気筒エンジンに、Aアームとフォークで構成されるテレレバーサスペンションと、シャフトドライブのパラレバーを組み合わせるという、現行Rシリーズ共通のもの。ここにぐっと手前に引いたハンドルを組み合わせることで、ライダーの上半身が起きるポジションとなっている。シートはライダーとパッセンジャーで独立しており、たっぷりとしたボリュームと適度なコシと柔らかさがあって、パッセンジャーも快適に過ごすことができる。また、装備面でも快適なツーリングを実現してくれるアイテムを満載しているのもRTならでは。グリップヒーターや燃費などを表示してくれるオンボードコンピューターは標準装備で、189,000円高のプレミアムラインでは、スイッチひとつでプリロードと減衰力を調整できるESA(電子調整式サスペンション)や、設定した速度を自動的に保ってくれるクルーズコントロール、シートヒーターなどを装備。さらに、滑りやすい路面でリヤタイヤの空転を防ぐASC(オートマチックスタビリティコントロール)や、FM/AMラジオ・CDが楽しめるオーディオなどをオプションで追加できる。こう並べていくとまるでクルマのようであり、バイクにはこんな快適さはいらない、という向きも。見方を変えれば、快適にすることでライダーの体力や知力を長く保たせることができ、その結果、より遠くに行くことができるわけだ。そう考えると、これらの快適装備はまさに長距離ツーリングの強力な武器となのである。
スクリーンやカウル、サス…
快適なツーリングを求める方へ どんなシチュエーションでも使えることより、スポーツライディング、ツーリング、オフロードと、使う目的に合わせてより特化したラインアップを充実させるBMW Motorrad。R1200RTもそんな中でロングツーリング志向のユーザーの欲しい装備をすべて備えているといっても過言ではない。特に恋人やパートナーとタンデムでツーリングを楽しみたいという向きにR1200RTは最適なモデルだといえよう。それは、ライディングポジションやフェアリングによる防風性能、そして数々の装備による快適さというだけではない。それらに加えてボクサーエンジンとRTというキャラクターの組み合わせが、どことなくゆったりとしたリズムを与えてくれ、心地よい時間を過ごさせてくれる。これをライダーだけが独り占めしておくにはもったいない。ぜひとも、恋人やパートナーとタンデムで日本の果てまで走りにいくことをお勧めしたい。 ゆったりとした時間を過ごせる 昨秋に同じBMWのツーリングモデルK1200GTに試乗した際に、同じロングレンジツアラーであるR1200RTと比べたらどうなのだろうという興味が沸いてきた。それだけに、今回の試乗はとても楽しみにしていたのである。K1200GTが並列4気筒エンジンを積んで生まれ変わったときに、それまでのRSの派生モデルとしてではなく一からツアラーとして作られたため、キャラクターとしてかなりRTに近くなった。その一方、R1150RTのときには装備面でK1200GTに少し見劣りしていたRTは、R1200RTになってGTと変わらない充実した装備が持てるようになった。そうすると、あとはバイクとしてのキャラクターの違いで選ぶことになるわけだ。今回R1200RTを試乗して感じたのは、ボクサーツインエンジンが奏でるサウンドが、まるで地方航空路線を結ぶターボプロップ機のエンジン音に聞こえたこと。低回転ではシリンダーが動く鼓動とバタバタという音が、まるで滑走路上を動き出したような感じで、走り出すとあまり音色が変わらない感じも飛行機的。BMWが航空機エンジンのメーカーだったということを思い出させてくれる。ジェット機のようなエネルギッシュさを秘めたエンジンのK1200GTに対して、R1200RTのプロペラ機的なのどかさが、ライダーにゆっくりとした時間を与えてくれるような気がした。また、個人的にはR1200RTはオーディオが付くこと、そして私が初めて知ったBMWが近未来的なミラー一体型のフェアリングを持つK100RSで、その憧れ!?のビルドインミラーを持つR1200RTにちょっぴり傾きかけたのも事実。私にとってのロングツアラーは、積極的に楽しいK1200GTと、ゆったりとした時間を過ごせるR1200RT、さて、どちらにするか、さらに悩みは深まってしまった。 BMW Motorrad R1200RT
DATA-- ■エンジン=空油冷4ストロー水平対向2気筒 1169cc |
八百山ゆーすけ バイク、カメラ、ケータイ、パソコンなど、幅広いジャンルを手がけるライター/編集者。“公称身長160cm未満”を生かし、女性や小柄なライダーに役立つ視点を持つ。長距離ツーリングからサーキットまでどっぷりバイクライフに漬かる人生。
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