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BMWの歴史でキーとなった「S」 今回紹介するR1200Sは、BMW伝統の空冷水平対向2気筒エンジン、通称「ボクサーツイン」の中で、2008年3月時点で最強のパフォーマンスを持ったモデルだ。これまでBMWのモデルラインアップは、同じエンジンをそのままの仕様でさまざまなモデルに採用することが多かった。しかし、R1200Sのエンジンは外見こそ他のボクサーと同じながら、エンジン内部をチューンし、他モデルより高いパワーを与えている。また、一世代前のR1150シリーズより1割以上軽くなったボクサーエンジンを搭載する現行Rシリーズの中でも、さらに1割近い軽量化が図られているのもR1200Sが特別な存在であることの証だ。昔からBMWは、車名にキャラクターを示すアルファベットを付けている。R1200Sの“S”は“Sport”の略で、まさしくポーツモデルの証。歴代のモデルで“S”を冠したモデルには「R69S」や「R90S」などがあるが、その時代時代でBMWの最高のスペックが与えられたモデルとして知られている。R1200Sもこの「S」を冠するにふさわしい性能が与えられているのは言うまでもない。BMWの優秀なツーリングバイクも好きだが、スポーツバイクも大好きな僕にとって、R1200Sの試乗はとても楽しみだった。 12psアップと200kgを切る車重に
車体はBMWの全モデルの中でもひときわコンパクトで、各部がスポーツモデルらしい構成となっているのもR1200Sの特徴。シート高は830mmとかなり高めで、広くて大きい形状と相まって、積極的に体重移動をしてコーナリングすることを意識させられる。タンデムシートはあるもののグラブバーはなく、明らかに一人で楽しむことを前提としているようだ。サスペンションも見た目は他のボクサーツインと同じでも、よりハードなブレーキングに対応するセッティングが施され、オプションで前後オーリンズ製のショックユニットを装備した仕様も用意されている。また、ABSを装備するハイライン仕様車では、サーキットを走るときなどのために、ABSをカットするボタンが付いている。ボクサーツインという前提こそ同じであれ、他のモデルとは趣を異にしている。
BMWには珍しい前傾姿勢
ツーリング性能は最小限 スポーツモデルとわかっていてもBMWのブランドイメージから、「とは言ってもツーリングもできるでしょ?」と考えたくなるところ。しかし、R1200Sにツーリングでの快適さは期待しない方がいい。もちろん、国産スーパースポーツでツーリングするライダーもいるのだから、R1200Sでもツーリングは不可能ではない。しかし、かなりのタフネスさをライダーに求めてくるだろう。やはり、R1200Sはスポーツバイクと割り切って向き合うことをオススメする。その代わり、ワインディングやサーキットでの走りを楽しみたいという向きには最高のボクサーエンジン搭載モデルだと自信を持って言える。もちろん、BMWとしての高い信頼性や、安全に配慮した設計思想など、ライダーに優しい部分も持ち合わせている。これからスポーツライディングを楽しんでみたいというライダーにもぜひオススメしたい。 心地よい疲労感を残してくれた 以前、先代のR1100Sに何度か乗ったことがある。そのときの印象は、他のモデルよりややスポーツ寄りのポジションというものだった。しかし、R1100Sは他のスーパースポーツに比べると大柄で重く、いい意味でも悪い意味でもBMWらしいと感じたものだ。スポーツモデルであっても、国産スーパースポーツのような尖がったものではなく、あえてダルな部分を残して幅広いライダーの使い勝手を考慮していたと思う。R1200Sに代替わりして以降、さまざまな機会で実車を見ることはあっても、走らせてみたことはなかった。どこかで「とはいってもBMWのスポーツモデルでしょ」とうがった見方をしていたからだ。しかし、今回の試乗で、ワインディングの楽しさだけではなく、心地よい疲れを感じたのである。この感覚はスーパースポーツとまったく同じだ。これまで乗ったBMWではそんな経験をしたことがなかったが、このとき初めてR1200Sは真のスーパースポーツだと確信した。 BMW Motorrad R1200S
DATA-- ■エンジン=空油冷4ストロー水平対向2気筒 1169cc |
八百山ゆーすけ バイク、カメラ、ケータイ、パソコンなど、幅広いジャンルを手がけるライター/編集者。“公称身長160cm未満”を生かし、女性や小柄なライダーに役立つ視点を持つ。長距離ツーリングからサーキットまでどっぷりバイクライフに漬かる人生。
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