

|
外観上はマイナーチェンジだが 新世代のエンジンR259ユニットを搭載してR1100GSが発売されたのは1994年のこと。オン・オフ問わず十分な性能を有していたR1100GSが長距離ツアラーとしても極めて優秀なパッケージであることが認識され始めると、"GS"はその勢力を徐々に拡大。その後に発表されたR1150GS、R1150GSアドベンチャーも次々と成功を収め、2004年に発表されたR1200GSはBMWの最多販売モデルにまで上りつめたのである。
そして、そのR1200GSが2008年モデルでマイナーチェンジを受けた。10年以上の年月をかけて人気モデルへと成長し続けてきたGSだけにドラマチックな変化は期待しにくい状況だが、こうして実物を目の前にして見ても、キープコンセプトであることは明確。外観上の変化は予想通り少ない。シート、フロントフェンダー、フロントフォーク、タンク、テールライト、ブレーキライトの変更に気づくが全体的な佇まいは従来モデルを踏襲している。しかし、それとは対照的に走りに関わる部分には重要な変更が加えられた。エンジンは5馬力ほど出力が向上し、ミッションは全面改良。メーカーオプションとしてエンデューロESA、エンデューロASCが搭載可能となったことなどが大きなトピックスだ。これらの変更により、GSの走りがどのように変化したのか。これが今回のインプレッションの最大のテーマである。 エンジンと駆動系は全面改良
次に注目すべきは駆動系。トランスミッションが全面改良されたほか、ファイナルのギアレシオも変更を受け、実質的には別物になった。両方ともエンジンの変更に合わせて新たなギアレシオが与えられたGS専用品で、全体としてはややローギアード化されている。また、高回転型になったエンジンとの組み合わせではあるが、若干燃費は向上。このあたりはエンジンのチューニングや熟成が進んだ証と言えるだろう。さらに、このGSで見逃せない装備が工場オプションのエンデューロESA/ASCだ。エンデューロESAのプリロードは従来型同様の3モードに加え、フラットダート、ハードダートの2モードを追加。ダンパーは、これまで通りのコンフォート、ノーマル、スポーツの3種類だが、組み合わせることでオフロード用のセッティング6パターンが追加されたことになる。エンデューロASCも従来型の進化版。オフロードをカバーする性能を兼ね備え、オン・オフ問わずリアタイヤの空転をセンサーが感知し、それを効果的に抑制するものだ。
このように、エンジンと駆動系の変更、そしてエンデューロESA/ASCの設定など、今回のマイナーチェンジは単なるフェイスリフトにとどまらず、走りの質を高めることに重きが置かれていることは確かだ。相当なコストをかけて実施された本気のマイナーチェンジであることが窺えるのである。
基本性能はオンロードを追求
1200になり、より逞しくなったエンジンの感触にも大きな変化はないようだ。しかし、従来モデルの極低回転域で稀に感じていた「もしかしたらエンストするかも」という不安感は完全に払拭。粘り強いエンジンに生まれ変わっていることに気づく。ユニット自体は若干だが高回転型になったので、この変化は駆動系全体の変更とエンジン制御の熟成によってもたらされているのだろう。発進時だけではなく、全域に渡ってトルクが一枚上乗せされた感覚があり、ワインディングを含むあらゆるステージでの俊足ぶりも相変わらずだ。フロントがテレレバーのため、ハンドルバーを持って多少強引に振り回すようなライディングでも破綻する気配すらない。むしろ、そうした乗り方が相応しいと感じてしまうほど、したたかなハンドリングには磨きが掛かっている。今回のマイナーチェンジによって、R1200GSの軸足はよりオンロード側に移されたと明確に感じた。
オンロードを強化した広大な守備範囲 林道ツーリングやロングツーリングが好きな方はもちろん、街中を走る機会が多いライダーにR1200GSはオススメだ。兄弟モデルのR1200GSアドベンチャーもあるが、こちらは重装備のためか街中では少々重たい印象。1速をよりローギアードにして重量増に対応しているが、街中をキビキビと走るなら軽快なR1200GSにかなわない。また、こういった走りは本来RTやST、さらにはRと言った符号を持つモデルの守備範囲であったわけだが、販売台数が示すとおり、今やGSはBMWのメインストリーム。新型になったR1200GSが舗装路面での守備範囲を拡大しているのは当然の流れだと言えるだろう。用途に応じて前述のエンデューロESA/ASCなどのオプションをチョイスすれば、別途オフロード性能を補強することは可能なのだから、基本的な走りに軽快感を期待するのであればR1200GSが適任だと言える。 また一歩先を行ってしまった かつてのビッグオフは、オートバイのカテゴリとしてやや特殊なものであった。しかし、そのパッケージングがロングツーリングや街中での走りにも適合するものであることが広く認知されるようになり、今ではすっかり一般化した感がある。この立役者の一人がBMWのGSであることは紛れもない事実であり、その功績はあまりにも大きい。そして、忘れてはならないのが、GSは常に一歩先を行く存在でもあったということだ。従来モデルと比較すると、今回のR1200GSは明確にオンロード性能が強化された。しかしその一方で、先進的なオプションがオフロードでの走りも補強していることは注目に値する。GSの後を追い、オフロード色を薄めたライバルたちが続々と登場するなか、先頭を走るGSはオフを含むオールラウンドな性能をより強化してしまった。今後もこのカテゴリのベンチマークとして君臨しつづけるであろうR1200GS。ビッグオフに興味があるライダーなら、このモデルを候補から外すことは難しいと言えるのではないだろうか。 BMW Motorrad R1200GS
DATA-- ■エンジン=空油冷4ストロー水平対向2気筒 1169ccc |
わたぼう レーサーレプリカから始まったバイク歴だが、基本的にはツーリングバイク好き。それでいて何故か愛車はオフ車が中心。こんな脈絡のないバイク遍歴に終止符を打つべく入手したカワサキのW650が現在のお気に入りのウェブコンテンツ編集者。 住所:東京都港区赤坂2-10-10 営業:9:30〜19:00 日曜日は18:00閉店 電話:03-3582-323
|