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発売当時はドゥカティの異端児 日本において、ハーレー、BMWに次いで、輸入車の代表格ともいえるのが、イタリアのドゥカティ。昨年のmotoGPでイタリアのメーカーとしては34年ぶりにワールドチャンピオンを獲得し、高い趣味性とスポーツ性を持ったモデルを続々と登場させているメーカーだ。そんなドゥカティの中にあって、日本で一番売れているのが「モンスター」シリーズ。ドゥカティ伝統のL型2気筒エンジンに小振りな燃料タンクやバーハンドルを組み合わせた、いわば“ネイキッド・ドゥカティ”である。1993年に登場して以来、他のシリーズが大きなモデルチェンジを行い、消え、そして新しいシリーズが生まれてきた中で、モンスターシリーズは15年間進化を続けながら現在に至っている。現行モデルの中で一番歴史の古いシリーズだ。モンスターが発表された当時のドゥカティといえば、レーシングバイクをそのまま公道仕様にしたような、低い前傾姿勢で乗るスパルタンなスポーツバイクであり、それを乗りこなすのが熱狂的なドゥカティファン“ドゥカティスト”の証だった。そんな中にあって、アップハンドルのモンスターはまさに異端児だったわけだ。それがいまやドゥカティワールドへの入口として、排気量やスタイルなど幅広いラインアップを揃え、ドゥカティの中では一番ポピュラーな存在となっている。今回紹介する「モンスターS2R1000」はそんなモンスターシリーズの中で、ドゥカティ伝統の1000cc空冷Lツインを搭載する空冷モンスターのスタンダードなモデルだ。 空冷Lツインデスモの伝統と
このように伝統的なエンジンに対してS2R 1000のデザイン、特にリヤビューは前衛的ともいえる個性を持っている。片持ち式スイングアームによってリアホイールを支持し、マフラーはテールカウル右側に2本出しとするルックスは、見るものに強烈な印象を与える。片持ち式スイングアームは’94年に登場した916以来、スーパーバイクシリーズが採用してきており、ハイパフォーマンスドゥカティの象徴ともいえよう。左側面からはこの銀色に光るブッといスイングアームが、右から見るとブラックアウトされた5本スポークのホイールと2本出しのマフラーが見え、左右で違う表情を見せるのもモンスターS2/4Rシリーズの特徴だ。この片持ち式スイングアームを最初に採用したモンスターは、’03年に登場した水冷のS4Rだった。S4Rは’01年までドゥカティのスーパーバイクシリーズだった996のエンジンを搭載し、発表された当時はまさにネイキッドの格好をした996と形容されたほど。そのくらい片持ち式スイングアームに水冷エンジンという組み合わせはインパクトのあるものだったわけだ。一方、S2R 1000はこの片持ち式スイングアームと片側2本出しマフラーという前衛的なフィーチャーに、伝統の空冷2気筒エンジンを組み合わせる。こうした伝統と前衛の組み合わせは、ヨーロッパのデザインや街を見ればどこにでも見つけることができる。S2R 1000はそんなヨーロッパ人の感性で生まれたモンスターなのである。
マイルドなエンジンフィールに
間口の広いキャラクターが なんといってもこれからドゥカティに乗ってみたいという人にはオススメ。これまでにも、多くの人がモンスターに乗ってから他のシリーズに乗り換えていったというだけあって、デスモドロミックL型ツインエンジン、ドゥカティの走りなどなど、あらゆる面でドゥカティの入り口としては最高だ。もちろん、エントリー向けといっても決して作りに手を抜いてあるわけではなく、車体の各部に“いいもの”があしらわれている。この辺は、ベーシックモデルでも手を抜かないヨーロッパメーカーならではのこだわりである。またS2/4RシリーズにはS4Rという水冷エンジンの選択肢もあるが、こちらはついこの前までトップカテゴリーだった999シリーズのエンジンを搭載している。そのため130馬力を超えるパワーを持ち、そのポテンシャルを使いこなせるのは相当の手練になることだろう。そういう意味でも、使いきれる楽しさを持っているのはこのS2R1000のほうだ。 現行モンスターは15年間の完成形 昨秋にイタリアで開催されたミラノショーで、次世代のモンスターといえる「モンスター696」が発表され、今年半ばあたりから日本にも導入されてくることだろう。やはりデザインには15年の隔世の感があるが、モンスターの雰囲気はしっかり継承されている。M696の発表によって現行のモンスターシリーズはモデル末期とも言えなくはないが、15年間に渡って数多くのユーザーによって支持され、そのユーザーのニーズによって進化・熟成されてきた完成形だとも言える。普段、水冷のドゥカティに接することが多いのだが、今回の試乗でいまさらながら改めてその違いを感じることができた。最初に感じた、水冷エンジンのフィーリングは角があり、空冷エンジンは滑らかに回る感じ。この違いがスポーティに走るときばかりでなく、普段使いでの快適さをもたらしてくれるからこそ、ドゥカティのなかで一番売れているモデルということになっているのではないだろうか。ドゥカティのようにプレミアムな輸入車を求めるときには、いきおいトップエンドのものを、という向きもあるが、ドゥカティでありながら幅広いバイクライフを楽しめるという意味では、S2R 1000は非常にバランスが取れたモデルだと言ってもいいだろう。 Monster S2R
DATA-- ■エンジン=空冷L型2気筒 2バルブデスモドロミック 992cc |
八百山ゆーすけ バイク、カメラ、ケータイ、パソコンなど、幅広いジャンルを手がけるライター/編集者。“公称身長160cm未満”を生かし、女性や小柄なライダーに役立つ視点を持つ。長距離ツーリングからサーキットまでどっぷりバイクに漬かる人生。
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