バージンバイク
キャラクター&歴史

750ccエンジンを積むミドルクラス
クラシックスタイルのアメリカン

ここのところミドルクラスのアメリカンに乗ることが多く、改めて和製アメリカンの奥深さに感心させられる。今回試乗するシャドウ750は、ミドルクラスといってもいわゆる“ナナハン”という、一昔前ではしっかりビッグバイクのカテゴリーに入る排気量を持っている。それだけに400ccクラスとは違った乗り味にとても期待が膨らんでいた。シャドウ750は、80年代後半から90年代のHondaのミドルクラス・アメリカン「スティード400/600」の後継モデルとして、現行のシャドウ400とともに1997年に登場したモデルだ。Hondaのアメリカンは80年代から「スピリット・オブ・ザ・フェニックス」という基本指針を継承しながら進化してきている。「フェニックス=不死鳥」というキーワードに「伝統と進化」、「より自由なスタイルへの昇華」という意味を込め、今でも新世代アメリカンモデルの開発の指針として貫かれてきている。かつてHondaはこのコンセプトで“アメリカン”というカテゴリーが確立されるきっかけのモデルを誕生させた。それが1988年に登場したスティード。当時としては本格的なアメリカンスタイルが人気を博し、アメリカンをミドルクラスの定番モデルにまで昇華させた。シャドウ750はそんなスティードが持つチョッパーライクなスタイルとは趣を変え、90年代後半のアメリカン・カスタムのトレンドであったクラシック・アメリカンスタイルで登場。ロー&ロングのフォルムでアメリカンの力強さを表現し、そこにレトロな雰囲気、ゴージャスな感覚を加えた「NEW AMERICAN CLASSIC CUSTOM」というコンセプトのバイクなのだ。

特徴

Hondaならではの個性が光る
エンジンや各部のパーツ

車輌詳細「スピリット・オブ・ザ・フェニックス」というHondaアメリカンのコンセプトどおり、雄大なアメリカ大陸を横断したくなるような伸びやかなフォルムがシャドウ750の特徴。最近のクルーザーの定番デザインとも言える、クラシック・アメリカンテイストを持ったデザインだ。大型のメーターにオフセットしたフューエルリッドを持つティアドロップ型タンク、鞍型のどっしりとしたシート、ファットなタイヤに深々と覆い被さる前後のフェンダーなど、シャドウ750をクラシック・アメリカンたらしめる装備はすべて揃っている。しかしシャドウが他のミドルクラス・クルーザーと大きく異なるのが、リヤ周りの造作だ。他のクルーザーがハーレーのソフテイルファミリーのような、リジッドシャシー風のルックスを与えられているのに対して、シャドウはダイナーファミリーのように左右のショックユニットが露出したデザインになっている。

 

他のアメリカンモデルとは一線を画す特徴は車体の随所に見られる。クラシック・アメリカンといえば、ライダーの足元はフットボードにシーソ式のチェンジペダルというのが多いが、シャドウ750はフォワードコントロールに近いポジションに削り出しのステップバーを装備。マフラーは2本出しではなく2in1の集合タイプ。太くて長いサイレンサー部を利用し2本出しマフラーと同じサウンドを奏で、中低速から高速域までフラットで力強いトルクを生み出すように設計されている。エンジンはスティードから継承された52°のバンク角を持つV型2気筒OHC3バルブユニット。アメリカンのV型2気筒ユニットのシリンダーバンク角は、各社がその個性を発揮する見せどころ。シャドウ750の52°というバンク角がもたらす振動が、心地よいエンジン音を生み出してくれる。なお、今回借り受けた広報車にはバックレスト(背もたれ)、レザーポーチ、ナビが取り付けられているが、これは純正オプション装備となっている。このような純正オプション装備は他にも豊富に用意されているため、納車時から人と違うスタイルを手に入れることができるのもシャドウ750の特徴と言えるだろう。

ポイント

吸気系カバーが個性的なエンジン

バフ仕上げのクロームメッキ処理が美しい狭角V型2気筒エンジン。ロングストロークと大容量の吸気系などによって、たっぷりとしたパワー感を与えてくれる。

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ポイント

ロー&ロングを強調する集合マフラー

右からのリヤビューに迫力を与える集合式マフラー。この筒の内部を前後に分割し、2本マフラーと同等以上の効果を与えることで心地よいサウンドを奏でる。

ポイント

リヤサスは2本ショックタイプ

リヤサスペンションはスイングアームに左右2本のショックユニットを備えるコンベンショナルなタイプ。駆動方式はシャフトでリヤ周りをすっきり見せる。

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ポイント

肉厚の独立式鞍型シート

660mmという低い位置にある鞍型のシートは、前方が絞り込まれさらに足付き性を高めつつ、どっしりとした形状でライダーをしっかりホールドしてくれる。

試乗インプレッション

ゆとりを生む660mmのシート高と
750ccの排気量が生む鼓動感

車輌詳細全長2510mmという大きな車体は、僕のような小柄なライダーにとってはとっつきにくさを感じるもの。確かにバイクを降りて押し引きするのはさすがに手に余る部分がある。しかし、跨ってみると660mmという限りなく低く抑えられたシート高と、前をしっかり絞ったシート形状のおかげで、安心してライディングポジションを取ることができた。またがったまま、252kgという車体を両足を漕いで簡単に前後できたということからも、その足付き性のよさをわかってもらえるはず。また、こうしたクルーザーのハンドルは幅が広いため、その分遠く感じられることもある。しかし、シャドウ750のハンドルはしっかり手前に引かれており、小柄なライダーにも無理ないライディングポジションを取ることができた。もう1点好感を持てたのは、イグニッションスイッチがシート下にあり、小柄な僕でもまたがったまま操作することができたこと。イメージとは違い、体格を選ばないバイクなのかもしれない。

 

車輌詳細イグニッションキーをひねりエンジンを始動させると52°Vツインが目を覚ます。シャドウ750はシャドウ400とほとんど変わらない大きさだが、さすがに750ccという排気量にもなるとエンジンサウンドはかなり力強くなる。この52°というVバンクの角度が生み出すサウンドは、和太鼓を繰り返し打つようなビート感あふれるもの。この鼓動は、タウンスピードからハイウェイスピードまで変わることなくライダーを鼓舞してくれる。750ccという排気量は充分に力強いものなんだな、と鼓動を楽しみながら巡航を続けた。スロットルを捻り加速してみると、どっしりと大きく重いものが前に進む感じが強く感じられる。一方、コーナーでは思いのほかスーッと車体が寝ていくため、大きさに臆することなくカーブが連続する山道をクルージングすることが可能。思いのほか速くバイクが寝ていくため、やもするとライダーのリズムが遅れてしまうほどスムースなコーナリングが印象的だった。

こんな方にオススメ

リッタークラスにも劣らない
日本の道路事情に合った風格

「アメリカンはとにかく大きくないとイヤ」という人には、750ccという排気量は中途半端に感じられるかもしれない。しかし、全長2510mmというサイズやクロームメッキ仕上げが美しい各部のパーツを見れば、リッター超のビッグクルーザーに勝るとも劣らない風格を備えているのを納得いただけるはず。また750ccは絶妙な排気量でもある。かつて750ccは“ナナハン”と呼ばれ、大型バイクの最高峰だった時代があった。現在ではリッタークラスのバイクが無数にあるものの、750ccという排気量は日本にはあった排気量だといえる。一般道から高速道路までパワーに過不足なく走ることができ、取り回しは中型バイクとそれほど変わらないバランスのいい排気量なのだ。ツーリング先でこの排気量の恩恵を受ける機会があるのも見逃せない。フェリーの料金で、750cc未満と750cc以上で料金が違う場合があるのだ。シャドウ750をはじめほとんどのナナハンの排気量は749cc以下なので、400ccなどと同じ料金でフェリーに乗れてしまうのである。そういう意味でも、ジャパニーズ・アメリカンとしてシャドウ750は実用的な選択のひとつだといえるだろう。

総合評価

やはり400ccにはないボリューム感
さりげない違いが確かな個性を生む

兄弟車であるシャドウ400と変わらないサイズに750ccのエンジン。ここのところ何度か400ccアメリカンに乗る機会があった僕にとって、正直なところこの750ccという排気量がもたらす違いが思いのほか大きく感じられた。大きなマスが加速していくエネルギー感、マフラーが奏でる野太いサウンドなど、400ccとは違うマッチョさが確かにある。アメリカンモデルの魅力である“ゆったりとした走り”、“力強いエンジンの鼓動”を感じるのに“大きいことはいいこと”なのかもしれない。また、クラシック・アメリカンというテイストでくくると、どのモデルもどうしてもディティールが似通ってきてしまいそうなのだが、シャドウ750には他とは違う個性が与えられているのも面白い。趣味のバイクであればこうした個性はとても重要なこと。パッと見では気が付きにくいこうした個性こそ、オーナーのバイクに対する想いをかきたててくれるのではないだろうか。

SHADOW750

モデルイメージシャドウ400とほとんど同じシャシーに750ccのエンジンを積むHondaのミドルクラス・アメリカン。ロング&ローのフォルムに美しいクロームメッキパーツを配し、上質感あふれるクラシックスタイルを表現する。

DATA--

■エンジン=水冷4ストロークOHC3バルブV型2気筒 745cc
■最高出力=44ps/5,500rpm ■最大トルク=62Nm/4,500rpm
■価格=¥766,500(税込)
「SHADOW750」の詳細情報を見る(バイクブロス)

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八百山ゆーすけ

八百山ゆーすけ

バイク、カメラ、ケータイ、パソコンなど、幅広いジャンルを手がけるライター/編集者。“公称身長160cm未満”を生かし、女性や小柄なライダーに役立つ視点を持つ。長距離ツーリングからサーキットまでどっぷりバイクに漬かる人生。