バージンバイク
キャラクター&歴史

現代の技術でよみがえる
美しいモーターサイクル

今からおおよそ40年ほど前、日本全土に衝撃を与えたバイクが発売された。その名は「650W1」。当時の国内市場において並ぶものがないスペックと、英国車のデザインを踏襲した流麗なスタイルで大旋風を巻き起こした。その後4気筒エンジンを搭載したZシリーズが登場するまでカワサキ・ビッグバイクの代名詞的存在として君臨しつづけ、今もってファンが多い歴史にも記憶にも残る名車だ。オールドファンのバイク談義の中には必ず「ダブワン」という言葉が出るし、少しでもバイクの歴史を紐解けばその存在を目にしないことはない。それほど偉大な一台だったのだ。

 

1998年に登場したW650は、その名車に冠せられた「W」を受け継ぐモデルとして大きな注目の中デビューした。エンジン形式こそOHVからSOHCに変わったものの、当時を思わせるエンジンとWの面影を見せる曲面デザインの車体は、今の時代には無い「日本のモーターサイクル」としての美しさを教えてくれる。見るだけで惚れ惚れとするたたずまいと、未だ触れたことの無い未知のエンジン、そして体験したことの無い、古くて新しいスタイル。今日のバイクシーンの中でもひときわ存在感を見せるW650シリーズの実力はどれほどのものか、実際にインプレッションしてみることにした。

特徴

トラディショナルなデザインに
息づく確かな機能性

車輌詳細W650全体から感じられるのは、日本のバイクとしての美しさ。日本のモーターサイクル黎明期をにぎわせた名車の面影を感じるルックスは、今この時代においても色褪せることはなく、むしろ個性的な美しさを感じさせてくれる。特にべべルギア駆動の空冷4ストロークSOHC4バルブバーチカルツインエンジンの直立したシリンダーからは、このバイクが紛れもなく名車Wの血統だとわかる。また、各部の作り込みにおいても、風景が写りこむほどのメッキや、細やかな造形のエンブレムなど職人的なこだわりを感じる仕上がりだ。車両自体のサイズはコンパクトで、絞り込まれたタックロールデザインのダブルシートシートは乗り心地も足つき性ともに良好で、身長が170cmもあればしっかりと地面に足が付く。また、タンデムしやすいようにリア周りにはタンデムグリップが装着されているという心配りが嬉しいところだ。ヘッドライト、ウインカー、テールライトともにメッキを効果的に用いたオールディーズなスタイルで、W650の雰囲気とのマッチングも完璧だ。

 

もちろん、ルックスだけでなく実用的な装備面も充実している。先ほどのタンデム用グリップだけでなく、荷掛けフックもシート周りに備える他、キーシリンダーには異物で無理にまわすとシリンダーがフリーになってシリンダー内を保護し、電気回路の遮断を行う防犯性の高いタイプを装備。トラディショナルなルックスは一時の流行などではなく、こだわりと機能性をしっかりと両立させているのだ。

ポイント

圧倒的存在感のエンジン

国産モデルでは唯一となるべべルギア駆動の空冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブエンジン。美しい空冷フィンとあいまって、その存在感はまさにW650だけでしか楽しめない魅力と言える。

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ポイント

なめらかな曲線の美しさ

昨今のバイクには無い曲線を基調としたラインがなまめかしい。特にタンクの柔らかなデザインは特筆すべきライン。見ているだけでも満足してしまいそうになる。また、各種エンブレム等の作りこみも精緻だ。

ポイント

キャプトンマフラーで良い音を

トラディショナルなルックスにマッチする、左右二本出しのキャプトンマフラーを装備。ジェントルで心地よいサウンドを奏でてくれる。メッキの輝きもこだわりが感じられる仕上がりなのは言うまでもない。

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ポイント

メッキパーツの仕上がりは格別

W650にはメッキパーツが各所にあしらわれ、雰囲気のあるたたずまいを作り出している。メッキのクオリティ自体も非常にレベルが高く、覗き込めば鏡にできそうなほど。写真でもヘッドライトが綺麗に映っている。

試乗インプレッション

乗る喜びと持つ喜び
W650だけの悦楽

車輌詳細W650に跨って分かるのは、これが特別な乗り物ということ。最初の儀式たるエンジン始動においても、セルではなく昔ながらのキック方式も選べてしまう。ニーグリップにしてもバイク自体を直接足で挟み込む、ではなくグラマラスなタンクに備えられたタンクパッドを介して行うことになる。「昔のライダーはこういう風にバイクに乗ったんだな」という感慨もひとしおだ。走り出す前の段階で、他の何者でもない、Wに乗っているのだという満足感が得られてしまうほどだ。

 

 

 

車輌詳細いざ走り出してみると、節度の効いた鼓動感とともになめらかにまわるW650のエンジンは、豊かなトルクで交通の流れに乗せてくれる。スペック上で見ればそれほどパワーがあるわけではないのだが、スロットルをひねればどの回転からもしっかりと加速が可能。普通に流すには力強く開ける必要もなく、エンジンのフィーリングも決してライダーを急かさない余裕がある。サスペンションも適度な固さで、クルマをリードして走る街中での乗り心地は快適の一言。立ち気味のポジションとクッション製の高いシートは、つい長い距離を走りたくなってしまう心地よさだ。ブレーキについても、シングルディスク+リアドラムながらも必要充分な制動力を発揮しており、街中から郊外までストレスの無いライディングが楽しめる。

 

それからもう一つ。W650に乗っているといろいろな人に声を掛けられる。特に印象的だったのがガソリンスタンドでの給油時、年配の店長との会話。曰く、やはりW650はとにかくカッコいい、ということだ。「オートバイはこういう形じゃなくてはいかん!」という言葉に、乗りながらこちらも嬉しくなってしまった。走りもいいが、こういうふうに「持つ」喜びも与えてくれる、それもW650の魅力かもしれない。

こんな方にオススメ

スペックだけにこだわらない
「真の趣味人」のための一台

誰にでも乗りやすく他にはない個性を持ち、それでいて飽きのこない奥深さを感じさせてくれるW650。一目見て気に入ってしまった、という方には間違いなくおすすめできるし、他に代わりは効かないだろう。また、快適なポジションと乗り心地は、のんびりとしたライディングを楽しみたい人や、ツーリング派でも満足できるもの。特に「最近の高性能化したスポーツバイクはちょっと…」という方は、機会を見て是非一度試乗をして欲しい。特に走る喜びから持つ楽しみ、眺める満足感を求める、バイク趣味人には最適の1台だ。乗れば乗るほど満足度が高まる1台といえるだろう。

総合評価

他には無いテイストがある
「日本のモーターサイクル」

他で代わりのモデルが見つからない日本的な美しさと、一度走ればわかる懐のひろいライディングフィールこそW650の美点。ルーツとなったW1のような激しさはないものの、それを補って余りある余裕を感じさせてくれる。W650はそのルックスゆえに走りの方が、と思われることも多いだろうが、実際の乗り味は非常にテイストのあるものだ。絶対的は速さで言えばスポーツバイクにはかなわないが、日本というステージで心地よく走るという面において、完成度の高さはかなりのレベル。 バーチカルエンジンの優しい鼓動と、なめらかな走り…そして人からも憧れられるスタイルという協奏曲は、心捉える美しさだ。

Kawasaki W650

モデルイメージNinja 伝説の名車「650W1」の血を受け継ぐのが、このW650。カワサキ渾身のバーティカルツインエンジンを採用した1台。そのエンジンの造形美は、乗るだけではなく眺めても楽しい。

DATA--

■エンジン=空冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ 675cc
■最高出力=48PS/6,500rpm ■最大トルク=54N・m/5,000rpm
■価格=¥720,300(税込)
「W650」の詳細情報を見る(バイクブロス)

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Bros.Editorial Team

Bros.Editorial Team

バイクブロス発行各誌の編集部から、乗りたがりクンたちが結集! 写真の4人を中心に、メンバーが自在に増殖するアメーバ的チームだ。みんなで乗って遊んで、今回はむーやん(右上)が担当。