新しいニンジャは
待望の250ccスポーツ
普通2輪免許で乗れるフルカウルのニューモデルが、国内のバイクラインナップから姿を消してからもう10年を超える。1980年代のレーサーレプリカブームとは反対に、1990年代から2000年代は、スポーツバイク受難の時代と言えるだろう。公道ではもてあますほどの高性能化と、それに伴う高価格化、そしてユーザー嗜好の変化でフルカウル付きのスポーツモデルは衰退していき、ツーリング向けとして一部を残すだけとなっていた。そして、昨今の排気ガス規制の強化によって、スポーティなネイキッドモデルすら生産中止を余儀なくされるなか、250ccクラスに待望のカウル付きニューモデルが発表された。それがカワサキの「ニンジャ250R」。250ccのカウル付きスポーツモデルとしては、10年ぶり以上。しかも、各社が新車価格を引き上げる中、50万円を切る意欲的な価格での登場だ。業界内でバイクユーザーの減少が問題視される中、エントリークラスである250ccに完全新型が登場したとあって、ニンジャ250Rは今もっとも熱い視線を浴びているモデルとなった。満を持してカワサキが送り出した、最新の250ccスポーツがどれくらいの実力を持っているのか、早速確かめてみよう。
スポーティなフルカウルボディに
必要十分以上の装備を凝縮
ニンジャ250R最大の特徴は、なんといっても車体を包み込むフルカウルだろう。大型バイクでは珍しくないかもしれないが、250ccクラスのフルカウルモデルとなると、同じくカワサキのZZR250くらいしか選択肢が無かった。しかも、最新スポーツバイクの流行を取り入れたデザインとなると、国内ラインナップにライバルは不在だ。ニンジャ250Rのカウル形状は、カワサキのスーパースポーツであるZX-10Rニンジャ等の流れを汲むもので、フロントやテールまわりなど、随所に“ニンジャ”シリーズであることを主張するデザインを取り込んでいる。また、見た目に大きく見えるフルカウルだが、またがってみるとフロント側の視界は良好、ハンドルをフルに切ったときも手と干渉することもない。気になる足つき性は、カタログスペックではシート高が775mmと比較的高い印象を受けるが、シート形状がスリムなため非常に良い。身長174cmの筆者の場合、両足がべったりと着き、街中でも全く不安がない。取り回しも軽く、女性や初心者の方でも不安を覚えることは少ないだろう。
装備面では前後のディスクローターにペータル(花形)タイプを採用しているところも見逃せない。これは従来のディスクローターに比べ、ブレーキの放熱性を高めるほか、パッド表面の清掃効率を高める形状になっており、いまやスポーツバイクでは常識となりつつある。足回りはフロントに37mm径のフロントフォーク、リアに5段階にプリロード調整可能なサスペンションと、前後にスポーティなロープロファイルタイヤを採用。なりは小さくとも、しっかりとスポーツモデルらしい装備を与えられている。エンジンには最新のレース用マシンからの技術がフィードバックされているなど、見えないところにも抜かりは無い。スポーティなフルカウルの中には、楽しく走るための要素が凝縮されているのだ。
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適度な前傾で腰にもやさしい 街乗りでも快適なポジション
セパレートハンドルだがトップブリッジ上に取り付けられているため、ポジションはスポーティというより、どちらかといえばツーリング向けの雰囲気。街乗りでも手首が痛くないハンドル位置がうれしい。 |
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高速道路走行もつかれにくい 防風性の良いフルカウルボディ
スクリーンが低いように見えるが、防風性能は十分。高速道路でのハイスピードクルージングでもカウルが守ってくれるため疲労がたまり難い。カウル形状はスポーティなデザインを採用している。 |
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女性でも安心の低シート高で 足つき性はバツグン
シート高は775mmと数値上は標準的な高さだが、車体がスリムなため足つき性は非常に良い。身長174cmの筆者だと両足がべったりつくほど。また、車輌自体も軽いため取り回しもイージーだ。 |
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扱いやすい前後ディスクブレーキは レーシーなペータル形状
ブレーキは前後にペータル(花型)形状のブレーキローターを採用している。ブレーキはレバーの入力にあわせて制動力がじわりと立ち上がっていくタイプで、コントロールしやすい設定になっている。 |
誰が乗っても楽しめる
乗りやすくて快適なスポーツ
早速ニンジャ250Rのイグニッションをオンにし、エンジンを始動する。最新のインジェクションモデルということもあり、始動性は良好。アイドリング音は控えめで、90年代の250ccスポーツと比較するとずいぶんおとなしい印象だ。ライディングポジションはセパレートハンドルながら余裕のある設定で、極端に腰を曲げたり前傾する必要がないため、ライダーへの負担は少ないだろう。走り出してみると、エンジンのスムーズさに驚く。以前に発売されていたZZRと同じDOHC並列2気筒エンジンだが、スムーズさは圧倒的にニンジャ250Rが上だ。低回転から高回転まで、ストレス無く一気に吹け上がり、もたつくところは皆無といっても良い。250ccだからと甘く見てスロットルをあけると、一気にレブリミット付近まで回ってしまう。低・中速でも排気量を感じさせない扱いやすさだが、印象的なのは高回転の伸び。6000回転を超えてからも伸びていくパワー感は、ついついスロットルをあけたくなるほどだ。コーナリングは素直な特性で、目を吊り上げるようなこともなく、街中からワインディングまで気持ちの良い走りが楽しめる。
そして、特筆しておきたいのはブレーキのコントロール性の良さだ。握り込むほど効いてくるタイプで、路面と相談しながら、最大限の制動力を発揮させやすい。気になるフルカウルの性能だが、これは十分に合格点。スクリーンが低いように見えるが、十分な防風効果があり、カウル無しにくらべて疲労度は格段に違う。また、実際に風の影響を受けやすい都市高速を走行してみたが、しっかりライディングポジションを決めてしまえば、走行風に対して神経質にならずに走ることができた。試乗して感じたのだが、ニンジャ250Rはどの場所でも乗りやすく、苦手とするシチュエーションが少ない。スポーツバイクというカテゴリのため敷居を高く感じたなら、それは大きな間違いだ。なめらかなエンジンと、分かりやすい挙動、そして確かな防風性能。今の250ccクラスにおいて、これほど乗りやすいバイクは少ないと言えるだろう。
若い人ほどこのバイクに乗って欲しい
初心者にもおすすめできるスポーツ
ニンジャ250Rをおすすめしたいライダーは、やはりこれからバイクに乗り始める初心者の方や、若いライダーたちだ。誰にでも乗りやすく、バイクの動きがわかりやすいという面では、国内250ccクラスとしては出色の出来だろう。また、タイヤも太すぎないサイズを採用しているほか、複雑な電子制御部品なども使われていないため、維持費やメンテナンス費用に悩まされることも少ない。全盛時代の250ccレーサーレプリカに比べると非力な感は否めないが、スムーズな乗り味と扱いやすさはニンジャ250Rが一歩リード。気軽に乗れて、楽しく走れるニンジャ250Rとなら、楽しいバイクライフのスタートを切れるのではないだろうか。
バイクの新しい時代を感じさせる
250ccのニュースタンダード
ニンジャ250Rは、大型バイクや過激な2サイクルレプリカを体験してきたベテランライダーには、スペック的に物足りない部分もあるかもしれない。しかし、数字がバイクのすべてでは無いだろう。それでなくともスポーツバイクは、スペックにこだわるあまり、「これから乗る人」を置き去りにする傾向が強い。買いやすい価格で、乗りやすいスポーツバイクであるニンジャは、そういったモデルとは対極にある存在だ。若者のバイク離れの傾向が進んでいるといわれる現在、エントリーモデルとして価値のあるバイクが登場したことは、喜ぶべきことだ。何より、素直で乗りやすいニンジャ250Rはバイクに乗ると言うことを思い出させてくれるファンな1台。久々に登場したライムグリーンのスポーツバイクは、機会があるなら是非1度乗って欲しい。21世紀に入ってはじめての250ccスポーツは、きっとこれからの出るバイクの指針になるはずだ。
Kawasaki ニンジャ 250R
国内モデルとしては10年ぶり以上となる250ccカウル付きスポーツモデル。ライダーを選ばない乗りやすさと、50万円を切るリーナブルな価格設定が魅力だ。
DATA--
■エンジン=水冷4サイクルDOHC4バルブ並列2気筒 248cc
■最高出力=23kW(31ps)/11,000rpm
■最大トルク=21N・m(2.1kg-m)/8,500rpm
■価格=¥498,000
■「ニンジャ 250R」の詳細情報を見る(バイクブロス)