バージンバイク
キャラクター&歴史

砂漠が生んだ心臓を持つ
ストリートファイター

オーストリア生まれのKTMというメーカーは、モトクロスやラリーといったオフロードコンペティションの世界でその名をはせている。「READY TO RACE」という、メーカーが掲げるコンセプトが示すとおり、ラインナップにもレーサーモデルが多い。しかし今回試乗した990SUPERDUKEが目指すのは、あくまでストリート。かつてシングルエンジンを搭載し、ストリートファイターとしてデビューしたDUKEのコンセプトを昇華させ、アドベンチャーモデルに採用されていたVツインの心臓を得て、さらにディメンジョンをロード寄りに。“公爵”のネーミングを超えるマシンとして登場したのがSUPERDUKEだ。

 

世界最大のラリーレース・パリダカからかつてのサバイバルイメージが影をひそめ、ハイスピードラリーへと変貌していく中、KTMが威信をかけて投入したVツインエンジン。LC8(Liquid Cooled 8 valves:水冷8バルブ)と名付けられたこのエンジンは、パリダカで圧倒的なパフォーマンスを披露する一方、非業の事故ももたらしてしまう。これを斟酌した主催者は、ハイパワー化が進むレースのレギュレーションを変更、Vツインエンジンは禁止となってしまった。砂漠を制するために生まれた強心臓は、今SUPERDUKEに搭載されて、ストリートを制覇しようとしているのだ。

特徴

獰猛という言葉が似合う
攻撃的なスタイリング

車輌詳細ライトカウル、タンク・シュラウド、アンダーカウル、テールカウルと外装の各部にはエッジの効いたカッティングが施され、どの角度から見ても攻撃的な印象。大きくせり上がるタンクと、コンパクトにまとまるリヤまわりの対照が、まるで獲物を狙う猛獣のようなイメージを漂わせている。スーパーモタードイメージが残っていたシングルエンジンのDUKEとは異なり、あくまで重心の低いロードよりのスタイルだ。フロントフォーク、スイングアームはどちらも極太で剛性感を感じさせるもの。しかしその見た目とは裏腹に、またがってみると、ポジションには意外な優しさがある。バーハンドルゆえのアップライト感は、明らかにスーパースポーツとは異なる快適なもの。ライダーのおなかあたりに向けて大きくせり上がる印象のタンクも、またがってみると意外にコンパクトに感じられ、ニーグリップ時の安心感を増してくれる。

 

しかし、ひとつ気になることがあった。それは足着き性だ。850mmというシート高は、小柄なライダーにはいささか不安を感じさせるものかもしれない。身長180cmのライダーであれば両足のカカトが地面に着くのだが、ヒザには余裕がないというレベル。このあたりは見た目の印象と異なる部分で、体格の大きい欧米人向けかな、という感覚を否めないと同時に、スーパーモタードの雰囲気が残る部分でもある。しかし、決して重心が高いというわけではなく、半乾燥重量(乾燥重量ではなく、油脂類を含む重量表示)が約186kgというボディは、引き起こしや押し引きでも軽さを感じられるものだ。

 

ポイント

低重心・コンパクトなVツイン

LC8と呼ばれる水冷75度Vツイン・DOHC4バルブエンジン。セミカムギアトレインを採用して、シリンダーヘッドをコンパクト化、単体重量は58kg。エンジンを包む特徴的なトラスフレームはクロモリ製。

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ポイント

メーカーポリシーを感じる操作系

アナログ表示・指針式のタコメーターと、デジタルスピードメーターを組み合わせたメーターパネル。テーパーハンドルはKTMがオフロードモデルで採用しているものと同様。適度なしなりと剛性を両立させている。

ポイント

ストッピングパワーもより強大に

2007年モデルより、フロントのブレーキキャリパーがラジアルマウント化された。ローター径は320mm。スーパースポーツモデルはもちろん、昨今ではスーパーモタードモデルにも採用されつつある装備だ。

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ポイント

シャープさを損ねないテールまわり

エキゾーストシステムは2-1-2となるセンターアップの2本出し。ボリュームを感じさせながら張り出しが少ないレイアウト。エンドを斜めにカットすることで、シャープなイメージも増している。

試乗インプレッション

圧倒的なレスポンスと
それを操る楽しさ

車輌詳細 セル1発で目覚める猛獣。スタイリングから受けるイメージと、アイドリングでのエキゾーストノートがこれほどマッチしているバイクも珍しい。Vツインらしい鼓動感を残しながら、サウンドはあくまでワイルド。アクセルを軽くひねるだけで、マシンはまるで檻に閉じこめられた猛獣のように吠える。そしてそのレスポンスのよさにも驚かされた。遊びが少ないセッティングのアクセルは、走りを楽しみたいライダーにとって、心地よい緊張感をもたらすものだ。暖気を終え、エキゾーストノートに急かされるようにギヤを入れて走り出してみると、最初に印象的だったのは、レスポンスのよさと軽い吹け上がり。次に感じるのは、きわめてレーサーライクなパワー感と、バーハンドルが生む余裕あるポジションのアンバランスさ。

 

車輌詳細しかしこのポジションに慣れてくると、走りが楽しくて仕方なくなってくる。がっちりとニーグリップを決めて上半身をフリーにし、990ccとは思えないヒュンヒュン回るVツインを操作する高揚感。パワーバンドに入った瞬間に、猛獣は檻から解き放たれたかのような加速を見せ、ライダーを襲ってくる。加速したいとき、減速したいとき、曲がりたいとき、ライダーの意志は瞬間的にマシンに伝わっていく。一方で、このマシンはライダーに怠慢を許さないところがある。つねにパワーバンドをキープしておけ、とまでは要求してこないが、やや高めのギヤで街中の渋滞路を流したいときなどは、やはりストレスを感じてしまう。エンジンが「できれば開けてくれ」と要求してくるような感じ。またレスポンスのよさに関しても、「よすぎる」という面で神経質にならざるを得ない部分がある。

こんな方にオススメ

ライディングに激しさを
スタイリングに自己主張を

「ストリートじゃあスピードを出すところがないし、第一危険でしょ」と主張する優等生。そんな優等生を黙らせるのがSUPERDUKEだ。スタイリングに秘めた攻撃性は、エンジンパワーやエキゾーストノート、レスポンスのよさなど、どれをとってもワイルドという言葉がふさわしい。それもハーレーが持っているようなワイルドさではなく、アスファルトを切り裂くストリートファイターとしてのワイルドさだ。誰にでも受け入れられたいわけじゃない、わかるヤツだけ乗ればいい。そういうメーカーの主張を感じさせるスタイルと乗り味を持つSUPERDUKEは、まさに硬派なライダーのための1台といえるだろう。

総合評価

走るステージを選ばない
ストリート最強の1台

見た目は写真でわかるけど、乗ってみるとどうなんだろう? そう思いながらここまで読んでくれたあなたに断言したい。SUPERDUKEは見た目通りの攻撃的なパフォーマンスを持っている。スポーツネイキッド、ではなくストリートファイター。そしてスーパースポーツにも引けをとらない性能。この挑戦的なスタイリングに惚れたなら、間違いなくSUPERDUKEはあなたに合ったマシンだといえるだろう。そして実際に乗ってみれば、もっと好きになるに違いない。機会があれば、是非とも実際に触れてほしい1台だ。

KTM 990SUPERDUKE

モデルイメージ国内外のスーパースポーツモデルに匹敵する性能と、独自のコンセプトが両立。990ccVツインのパフォーマンスが、ライダーの感性を試す。

DATA--

■エンジン=水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 999cc
■最高出力=88kW/9000rpm ■最大トルク=100N・m/7000rpm
■価格=¥1,680,000(税込)
「990SUPERDUKE」の詳細情報を見る(バイクブロス)

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Bros.Editorial Team

Bros.Editorial Team

バイクブロス発行各誌の編集部から、乗りたがりクンたちが結集! 写真の4人を中心に、メンバーが自在に増殖するアメーバ的チームだ。みんなで乗って遊んで、今回はかんちゃん(左上)が担当。