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最後の油冷エンジン搭載車 バンディット1200S 油冷ファイナルエディション。このファイナルエディションという言葉には深い歴史が隠されている。20年以上前にSUZUKI独自のエンジンとした誕生した油冷エンジン。それまでの空冷・水冷の2種類のエンジンカテゴリの中に新風を巻き起こした独創的なエンジンだ。その後、数々のSUZUKIの名車たちに採用され、熟成を重ねてきた油冷エンジンはこのバンティット1200Sを最後にラインナップから消えることに決まっている。「水冷よりエンジンをコンパクトにできる」、「空冷よりも冷却性能が高い」両エンジンのいいところを取って生まれた油冷エンジンは性能的には他を抜きん出たものだった。しかし、世界的な環境規制の関係から次期モデルよりバンディットは水冷エンジンに変わる。伝統ある油冷エンジンを搭載したバンディットを楽しめるのはこのモデルが最後になってしまう。進化を遂げた最終進化系の油冷エンジン、それがこのモデルには搭載されているのだ。 思い出深いSUZUKIの油冷エンジン
そんな油冷エンジンを搭載する「BANDIT1200」は、最後のモデルに相応しく堂々たる車格を誇っている。今回試乗するSはハーフカウルをまとっているもののエンジンは剥き出し。4本のエキパイが美しく絡み合い、これこそが機能美というのだろうか、見とれてしまう。イグニッションを入れると、タコメーターの針が振り切るところまでいちど動いた。油冷エンジンが目覚める瞬間だ。当時、凶暴とも思えた強烈なトルクを発揮するエンジンは、熟成を重ねてきたせいだろうか、モデルが持つキャラクターの方向修正なのか、それとも厳しい排ガス規制のせいなのか、いずれにせよ乗り手に優しく扱いやすいエンジンに生まれ変わっている。荒々しさは削ぎ落とされ、上質なフィーリングなのだ。もう少し、極低速でドカンとトルクが出る方がボク好みだが、スムーズに吹け上がるエンジンはクセがなく扱いやすい。とは言うものの、昔のように凶暴な出力特性ではなくなっただけで低中速トルクは十分厚い。一般道を走っている分には5,000rpmで十分事足りてしまうほどだ。ちなみに5,500rpmあたりから上で、トルクがギューンっと出てくる。 他社のビッグネイキッドのようにツインサスを採用せずに、リンク式モノショックを装備しているのも特徴のひとつ。モノサスならではの快適な乗り味が体感できる。Sはハーフカウルのおかげで高速巡航もジェントルにこなす。ウインドスクリーンはしっかり高さがあり、ライダーを確実にプロテクト。ハンドリングは落ち着いた感じで、ステアリングに力を加えずバイク任せにしておけば、どんどん曲がっていく。ワインディングでも安全にかつスピーディに走れるから、これなら免許を取ったばかりの人でも恐怖心を持たずに楽しく乗れそうだ。ブレーキはファイナルエディションに限って、ABSを標準装備している。これもお買い得なポイント。ツアラー的なSか、ネイキッドスポーツの模範的なスタンダードか好みは別れそうだけど、カウル付きで3万円違うだけなら、ボクなら迷わずSかな。
油冷エンジン、やっぱり名残惜しい。信号待ちで、アイドリングするエンジンの排気音を聞きながら、タンク上にある「Final Edition」のロゴを指でなぞってみる。またひとつ、良き時代のモノが消えていくんだな。この連載が始まり、油冷エンジン最後のモデルに乗る機会が与えられたことにも感謝したい。 軽く、コンパクトに、扱いやすく バンディット1200油冷ファイナルエディションは、ボディマウントのハーフカウルを装着する「S」と、カウルレスのスタンダードモデルの2本立て。カラーは黒のみで、前後17インチのキャストホイールはゴールドに塗られている。このクラスにしては軽い車体で、乾燥重量は212kg(Sは215kg)。20リッターものガソリンタンク容量を確保しながらも、タンクの前後長を短縮することでコンパクトなライディングポジションを形成しているのはビギナーにはありがたいはず。シート高は770/790mmの2段階調整式。ヨーロッパ市場も強く意識してきたモデルだけあって、長距離ツーリングやタンデムランも得意とするところだ。「より軽く、よりコンパクトに、より扱いやすく」をコンセプトに熟成を重ね、ライダーに疲れを感じさせない設計になっている。ビッグバイクを意のままに操る悦びを、きっと感じることができるだろう。
バンディット1200/1200S 油冷ファイナルディション
DATA-- ■エンジン=油冷4サイクルDOHC4バルブ4気筒 1156cc |
バイク雑誌編集部員を経て、現在はフリーライター/編集者として、あらゆる二輪雑誌に携わる。16歳で中型二輪免許を取得し、18歳で限定解除。高校生の頃から日本全国を駆け回り、アメリカやタイなど海外ツーリングの経験も。
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