バージンバイク
キャラクター&歴史

ついに水冷エンジンを得た
ビッグ・バンディット!

根っからのスズキ・ファンの中には、複雑な心境でこのバイクの登場を迎えた人があるかもしれない。ビッグ・バンディットが油冷エンジンではなくなったからだ。〈コンパクトでシンプルな空冷エンジン〉と〈安定して高性能が出せる水冷エンジン〉のどちらにも属さず、「空冷エンジンよりも冷却効果が高く」、「水冷よりもエンジン構成を単純化できる」両方の「いいとこどり」な冷却方式を持っていた油冷エンジンが廃され、現代のスポーツモデルに一般的な水冷エンジンになったのは、世界的な環境基準への対応が主目的だ。このエンジンは、平成19年国内排出ガス規制に対応している。

 

バンディット1250S ABS(およびノンカウルのバンディット1250 ABS)の前身、バンディット1200が登場したのは2000年。それ以前から海外で発売されていたBandit1200(国内名 GSF1200)がモデルチェンジした際に、国内での名称を「バンディット1200」に改めたのを、一応のモデルスタート時点とみなしている。今回のバンディット1250S ABSもそうなのだが、当時からノンカウル・モデルとハーフカウル・モデルがラインアップされていた。その後、細かい仕様変更を受けながら、2006年にフルモデルチェンジ。バンディット1250S ABSのエクステリア・デザインは、このときの変更を引き継いだものだ。そのことは、本企画の過去記事にある、バンディット1200Sのページを確認してもらえればお分かりいただけるだろう。

特徴

コンパクトかつ軽量な車体に
トルクフルなエンジンをプラス

車輌詳細1,254ccもの排気量を持つエンジンを搭載しているわりに、車体はコンパクトだ。2,130mmという全長は、他社同クラスのネイキッドモデルよりも最大で90mm小さく、ホイールベースは35mm短い。また、ABSシステムを搭載していることを考慮しても、車重は軽量なほうだ。バンディット1250S ABSの乾燥重量は229kg(ノンカウルのバンディット1250 ABSは226kg)、これはライバルのカウル付きモデルよりも9kg軽い。コンパクトで軽量な車体に、ライダーフレンドリーな乗車ポジション、低回転域からもりもりとトルクがわきあがるエンジンが組み合わされたとき、バンディット1250S ABSは、「乗りこなすためのリッターオーバーネイキッド」としてのキャラクターを明らかにする。

 

先にバンディット1200Sのインプレッションを行っているので、この先は変更されたエンジン等についての確認を行ってみたい。新しく開発された水冷式の1,254ccエンジンは、107N・mのビッグトルクをわずか3,500回転時に発生するトルク重視型ユニット。クランクシャフトの下に二次バランサーを装備し、滑らかな回転フィールを得ようとしている。また、バンディット1200では5速だったミッションは6速化されているため、高速クルージングでの快適性が向上しているはずだ。「環境への対応」が水冷化の目的だったのだから、燃料供給にはフューエルインジェクションが採用されている。1スロットルボディあたり2枚のスロットルバルブを持つSDTV(スズキデュアルスロットルバルブ)は、より緻密な燃焼コントロールを行うことができるという。

 

ポイント

標準装備になったABSシステム

前後のブレーキには、ABS(Anti-Lock Brake System)が標準装備されている。雨天時など、μが低い路面での急制動も安心。必要なのは、いざというときガツッとブレーキングする勇気だけ。

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ポイント

センタースタンドを装備

装備されていて、実は便利なもののひとつに入るセンタースタンド。チェーンのテンション調整など、普段のメンテナンスに使えるだけでなく、冬季などに長期保管する際にも「あったらいい」。

ポイント

シート高さは2段階に調節できる

小柄なライダーにとって、足付き性の良し悪しは、車種えらびの大きなポイントになる。バンディットのシートは、高さが770mmと790mmの2段階に調節可能。つま先立ちの人にとって、2センチの差は大きい。

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ポイント

水冷化された新型エンジン

油冷エンジンのような放熱フィンは姿を消した。いかにも水冷エンジンらしい金属のカタマリと、大きなラジエーターが、新しいバンディットの象徴になる。燃料供給方式はインジェクション化された。

試乗インプレッション

乗って分かるこの魅力!
ビッグネイキッドを意のままに

車輌詳細「油冷エンジンが水冷になって、荒々しさが影を潜め・・・」、なんて書き出しを期待される方もいるかもしれない。しかし油冷時代も後期になると、スムーズに吹け上がりつつトルクも太いというフィーリングに洗練されていたので、冷却方式の変更が、そのままキャラクター変化につながったということなない。これは今回の撮影を担当した油冷エンジン乗りのカメラマン氏も同じ意見だった。イグニションをオンにすると、いったんタコメーターの針がレッドゾーンまで振り切れて戻り、水冷エンジンは簡単に目を覚ます。アイドリング時の排気音は、大排気量らしい重さはあるものの、静かすぎるぐらい。外径150mmにもなる大容量のサイレンサーがきっちりと仕事をしているということだろう。

 

車輌詳細コンパクトな車体とはいえ、跨ってみると燃料タンクの大きさを実感する。しかし、極端に前傾したライディングポジションというわけではないため、気にはならない。取り回しではそれなりの重さを感じるが、3,500回転時に最大トルクを発生するという中低速寄りのセッティングのおかげで、走りだしからのフィーリングは軽快そのもの。大型バイクを意識させられるような重さを感じさせられることはない。緩急連続するコーナーを、しゃかりきになることもなく、しっかり荷重をかけながら、「次、はい、次」とクリアしてけるのが面白い。もちろん、ちょっと前方が開けたとスロットルをワイドオープンにすれば、強烈な加速力が待っているのは言うまでもない。しかし、試乗コースの関係で、このモデルから採用された6段目のギアを試すことができなかったのが残念だった。ハーフカウルの本当の効果もまた然りである。

こんな方にオススメ

はじめての大型バイクにも、
ベテランが長く連れ添うにも

扱いやすいサイズと穏やかな特性のエンジンだけに、大型免許初心者にはうってつけのバイクだ。それは国内でGSFを名乗っていた時代の750ccモデルが、大型二輪教習車にも使われていたことからも伺える。ただし、バンディット1200をベースにした白バイ仕様車(GSF1200P)も存在することから、運動性能の基本レベルが高いことも分かる。つまりは上級者にとっても乗りごたえのあるバイクだということだ。そんな素性を持ちながら、モデルチェンジに伴う水冷化やインジェクションの装備などで、扱いやすさが確実に進歩しているため、ますます万人にすすめられるオールラウンダーになったといえる。

総合評価

最新のバンディットこそ
最高のバンディットだ

ポルシェ911という車がある。1963年に登場してから現在まで、数次のモデルチェンジを経ながら生産が続けられている名スポーツカーだ。そのポルシェ911がデビュー以来の空冷エンジンを捨て、水冷化することを発表したとき、多くのファンから「911が911でなくなる」という声が上がった。今回のバンディット同様に、環境基準への対応が主な理由とされたが、結果的には「最新のポルシェが、最高のポルシェ」という定説が揺らぐことはなかった。たしかに、油冷エンジンが姿を消してしまうということに、古くからのスズキ・ファンの心境は複雑かもしれない。しかし、バンディット1250S ABSに試乗してみて感じたことは、油冷であろうと水冷であろうと、バンディットはバンディットだということ。乗ってみれば、「最新の〜」という言葉のポルシェを、そのままバンディットに置き換えることができることに気がついてもらえるばずだ。バンディット1250S ABSは、絶対性能を追求したようなバイクではない。しかし、うまくニュアンスが伝えられるかどうかわからないが、スポーツライディングを「愉しむ」には、これ以上の相棒はないような気がする。

BANDIT 1250S ABS

モデルイメージ水冷エンジンとインジェクションを得たニュージェネレーション・バンディット。これまでどおり、ノンカウル仕様とハーフカウル仕様の2バリエーションが存在する。車名から伺えるように、ABSを標準装備した。

DATA--

■エンジン=水冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ 1254cc
■最高出力=100ps/7,500rpm ■最大トルク=107Nm/3,500rpm
■価格=¥1,029,000(税込)
「BANDIT1250S ABS」の詳細情報を見る(バイクブロス)

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Bros.Editorial Team

Bros.Editorial Team

バイクブロス発行各誌の編集部から、乗りたがりクンたちが結集! 写真の4人を中心に、メンバーが自在に増殖するアメーバ的チームだ。みんなで乗って遊んで、今回はきんちゃん(右下)が担当。