バージンバイク
キャラクター&歴史

紳士の国、イギリス「Triumph」が送る
クルーザーとはいかなるものか

大排気量クルーザーと言うと、多くの方がハーレーダビッドソンをイメージするのではないだろうか。しかし、世界最大排気量(量産車に限る)のモデルはハーレーではない。「世界最大」の名を冠するモデルは、実はイギリスが誇るバイクメーカー「Triumph」のラインナップの中にある。前回ボンネビルT100の試乗を行った際は、紳士の国イギリスらしいエンジンフィーリングに感動を覚えた。ボンネビルのようなバイクを生産するメーカーが作ったクルーザーとはどんなモノなのか、世界最大排気量とはどれほどスゴイモノなのか、そこが知りたくロケットVを試乗することとなった。

 

クルーザーと言っても、ロケットVはハーレーの2番煎じのVツインモデルではない。あくまでオリジナリティを追及した3気筒。しかも、ロケットVの心臓部は他のラインナップを見ても一際目立っている。トライアンフのスポーツモデルに採用されている横置き並列3気筒ではなく、伝統のバーティカルツインでもない、新開発の縦置きクランクの3気筒エンジンが採用されているのだ。縦置きクランクというと、ツアラーとして名高いHonda「ゴールドウイング」や少し前までのBMWくらいにしか採用されていない珍しいエンジン形式。ロケットVは非常にアグレッシブでマッチョなスタイルのバイクではあるが、このエンジン形式から見てもツアラーとしての資質も高いのでは? 試乗前から非常に妄想が膨らむバイクだった。

特徴

あらゆるパーツが規格外
強烈な個性が感じられる

車輌詳細他モデルにないロケットVの特徴を挙げようとすれば、枚挙に暇がない。実車を目にしてまず驚くのは、巨大という言葉では片付けられないタンク形状。車輌に跨り、目を落としたときに広がる景色は、どのバイクでも経験したことがないもの。どちらかというとスリムなタンクが好みだった私だが、ここまで巨大で主張が強いと「参りました」と謝りたくなる。もう1つ参ってしまうのは前後タイヤの太さ。フロントタイヤはなんと150mm! 一般的なバイクのリアタイヤより太い。リアタイヤは怒涛の240mm、前から見ても後ろから見ても自己主張が強い。タイヤに合わせてもちろん前後フェンダーもワイド。メーカー純正でここまでワイドな仕様だとは…「ロケットVの開発人はアメリカ的な発想を持っているのか」という気がしてきた。

 

外装に負けず、142psの出力を誇る縦置き3気筒エンジンの主張も強烈。漆黒のエンジン排気口からはエギゾーストパイプが縦に走り、車輌後部マフラーへと続く。エンジンがシックなカラーリングに押さえられているため、マフラーと巨大なラジエーターのクロームの輝きが見る者の目を奪う。ただマッチョをアピールするだけではなく、落ち着きを持たせた部分も用意しているこんなところにイギリスらしさを感じる。フロント周りを見るとクルーザーには珍しい倒立フォークが目に留まった。これだけマッチョなモデルでありながら、スポーツ性に手抜かりはないのか、と期待感が煽ってくれる。幅のある車体に合ったデュアルヘッドライトのマスクも特徴的で、前後左右どこから眺めても「○○に似ている」という表現が頭に浮かんでこない。

ポイント

縦置き3気筒エンジン

量産車最大の2294ccを誇るエンジン。最大トルクをわずか2500回転で発生させる余裕のトルクを誇る。一度アクセルを捻れば体が置いていかれる強烈な加速をしてくれるが、落ち着いたクルージングも可能。

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ポイント

類を見ない巨大なタンク

車輌中心部に鎮座しアイデンティティを感じさせる巨大タンク。タンク左側のクロームカバー内には吸気システムが、右側には排気システムが並ぶ。タンク容量は約25Lと長距離クルージングも安心。

ポイント

240mm極太のリアタイヤ

リアには16インチの極太リアタイヤを採用。路面をガッチリと掴み、エンジンからの図太いトルクをしっかりと路面に伝える。リアブレーキには316mmディスクブレーキを採用し、制動力にも不安はない。

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ポイント

倒立フォーク&ヘッドライト

320kgの(乾燥)重量を支えるため43mmフォークを採用。スポーツ性も考慮に入れた倒立フォークを採用し、バネ下重量を低減。特徴的なデュアルヘッドライトがスタイリングにアクセントを加味する。

試乗インプレッション

エンジン出力を受け止める極太タイヤ
走行中の安定感は抜群

車輌詳細「ツナギを着てスポーツライディングを楽しむ」。

身長178cmの私が跨り、余裕を持って両足がつく。身長が低い方だと少々辛いかもしれないが、これだけの車格にしては思ったより足つき性はいい方ではないだろうか。幅があり肉厚のシートは重量級の私の体重をしっかりと包み込んでくれる。フットポジションが足を投げ出す位置にあるため、シートの良し悪しは快適性に大きく関わってくる。それだけにこのシートなら、安心して身を任せられそうだ。ハンドルグリップはちょうど肩の高さの位置にあり、体に変な力が入らないちょうどいい高さ。スタンドを上げ車輌を起こしてみると、さすがに軽いとは言えない。ただ、乗車したままの車輌の押し引きをしてみたが、過去に試乗したハーレーと比べると同じくらいか。いや、ひょっとするとやや軽いかも。ロケットVの乾燥重量320kg以上に重いクルーザーはハーレーだけでなく、実は幾らでもある。2300ccという排気量につられ、重量も最大と勘違いしている方は他モデルとよく見比べて見て欲しい。

 

車輌詳細いざ走ってみての感想だが「一般道は2000回転まで。高速は3000回転まで」。無理にスロットルを捻らない限りこれ以上の回転数は滅多に使用しない。それ以上回さなくても充分に楽しめるエンジンだ。一般道で常用する1000回転〜2000回転で充分な、並みのクルーザー以上のトルクを発揮してくれ、しかもエンジンフィーリングは非常にマイルド。のんびりと流すのが好みの人なら、この回転数が一番オイシイかもしれない。Vツインのクルーザーなら楽しめるのはこのくらいまで、しかしロケットVにはまだその先がある。高速に乗り2000回転以上まで引っ張ると、体が置いていかれそうなほどの加速をみせる。Vブースト装備のV-maxの加速を知っている人がいるならば…アレをさらに強化したものと言えばわかってもらえるだろうか。この加速はツインで味わえるものではない。4気筒と2気筒のオイシイところを兼ね備える3気筒ならではのフィーリングだ。このエンジンが秘めたポテンシャルを余裕を持って楽しめる、高速安定性もロケットVの魅力の1つ。前後ワイドタイヤと重心の低さから、どれだけスロットルを捻っても車輌から不安を感じることはなかった。車輌が悲鳴を上げるより先に、心のリミッターの方が先にかかることは保証できる(笑)。

 

また意外だったのは、前後にこれほど極太タイヤを履かせた重量級モデルにしては結構曲がれること。もちろん決してスポーツ向きとは言えないが、そこそこのスピードでコーナーに侵入することも可能。他のバイクとはやや感覚が違う走らせ方に慣れてくれば、ロケットVもなかなかの走りを楽しませてくれる。気になった点と言えば、大型のラジエーターから排出される熱気程度のもの、ちょうど脛の部分に2.3Lのエンジンから放出された熱気が吐き出されるので、真夏の渋滞に巻き込まれたら…ちょっと辛いかもしれない。ただ、その分真冬は快適そう(笑)。

こんな方にオススメ

スタイルに惹かれた人はもちろん
More Powerを追求する人にも

ハーレーからの乗り換えも多いというロケットV。特徴的なスタイルに惹かれた人はもちろん、従来のクルーザーに“More Power”を求めるライダーにはぜひ試乗してもらいたい。ロケットVの加速はクルーザーというよりドラッグマシンの加速感に近いものがある。トルクフルなエンジンから発生する、怒涛の加速は、一度味わうと笑いがとまらないことだろう。ロケットVは混雑する街中より、交通量の少ない一般道や高速道路でより楽しむことができる。もしユーザーになった暁にはエンジンが活きるシーンで存分に楽しんで欲しい。

総合評価

ジェントルでありマッチョ
2つの顔を持つバイク

使用する回転数によって2つの顔を持つバイク。試乗をしてみてそんな印象を受けた。2000回転程度までの低回転走行は、余裕を持ったトルクで落ち着いた走りを見せてくれる。低速走行でもギクシャクした感じはなく、堂々とした走りを楽しむことができる。しかし、一度スロットルを捻ればロケットVのジェントルな顔は鳴りを潜め、マッチョなトルクがむき出しなる。その加速はハーレーなどのVツインエンジンとは感覚が違うモノ。体を置いていくような加速感は4気筒に近いものがある。クルーザーでありながらドラッグマシンの顔も持つ、そんなマシンがロケットVだ。ロケットVの登場からはまだ日が浅いため、その魅力は一般には周知されいないが、このバイクはハーレーやゴールドウイング、BMWなどと同様にバイク乗りのゴール“上がりバイク”となり得るモデルだ。

ROCKET V

モデルイメージ量産バイクの中で世界最大排気量を誇るクルーザー。極太のタイヤに巨大なタンク、他に類をみないスタイルに惹かれるユーザーは多い。のんびりも良し、回して強烈。回転数によって表情を変えるエンジンはやみつきになりそう。

DATA--

■エンジン=水冷DOHC並列3気筒 2294cc
■最高出力=142ps/6,000rpm ■最大トルク=200Nm/2,500rpm
■価格=¥2,257,500(税込)
「ロケットスリー」の詳細情報を見る(バイクブロス)

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編集部員 ターミー

編集部員 ターミー

数々のバイクを乗り継ぎ現在はハーレー「スポーツスター」、BMW「R80」、YAMAHA「SR」を所有するただのバイク馬鹿。これまでシングルかツインにしか乗ったことがなく、やや偏食気味なのが気にかかるところ。これからの成長を期待する。

トライアンフ神戸イースト

住所:兵庫県西宮市戸崎町6-17

電話:050-3385-7730

営業:10:00〜19:00

休日:月曜・第4火曜