バージンバイク
キャラクター&歴史

ネイキッドスポーツのフラッグシップ
インジェクション化されたXJR1300

「日本人のビッグバイクを作りたい」というコンセプトのもと、ヤマハ・ネイキッドスポーツのフラッグシップモデルとして、初代XJR1200がデビューしたのは1994年。その1年前にXJR400が登場しているが、「スポーツ性の高いキビキビした走り」がXJR400なら、XJR1200は「大排気量によるビッグトルクを生かした鋭い加速、レスポンスをベースとしたスポーツ性の高い逞しい走り」を照準に開発された。そして登場以来、熟成を重ねて13年、ついにキャブレターからフューエルインジェクション仕様へと進化した。車体右側へ1本出しとした集合マフラーが採用されるなど、大幅な変更が施されたXJR1300。確実に進化したものの、その基本スタイルは何ら変わっていない。直列4気筒エンジンを鉄のフレームに搭載し、リヤのサスペンションは左右に1本ずつという内容は、国内メーカーがそれぞれリリースするビッグネイキッドの王道とも言うべきスタイル。だが、ヤマハだけは空冷式エンジンにこだわり続ける。美しい冷却フィンを持つ空冷4気筒エンジン。XJR1300の圧倒的な存在感は、このエンジンが演出しているのだ。

特徴

規制に対応しつつもグッドサウンド
新作マフラーのエキゾーストノート

車輌詳細風の抵抗を低減するフェアリングなど一切ない。全身に容赦なく襲いかかる風圧は、ライダー自らがすべてを受け止めなくてはならない。1300ccもあるエンジンは剥き出しで、タンク、シート、サイドカバーで構成される車体は、いかにもオートバイらしいシンプルなシルエット。エンジンは空冷でフィンがいくつも刻まれている。ステンレス製エキゾーストが採用されたマフラーは美しく、リヤのサスペンションはツインショック。これぞ、ボクが描くオートバイのスタンダードスタイルだ。一目で大排気量だとわかる大柄な車体だが、さすがはデザインのヤマハ。スポーティさを想像させるシャープなスタイルで、ボリューム感から連想してしまうことが多い「鈍臭い」「鈍い」「重たい」といったイメージはまったく感じられない。XJRのデザインは、初代から一貫してそうだった。

 

それでは乗車してみよう。ポジションはごく自然で、手を伸ばしたところにハンドルがある。多少前傾気味のポジションにニーグリップがしっかり決まり、バイクとの一体感を早くも感じる。エンジンはセル一発で目覚め、キャブ車のようにチョークレバーを引いたり戻す作業はない。ニュートラルからシフトを落とせば、トルクはとても分厚く、引っ張らずにどんどんシフトをかき上げていくような走り方でも十分に速い。エンジンはトルクフルだがギクシャクするようなことなく、いたってスムーズに回り、アクセルを開けることに関して恐さを感じるようなことはない。トルクの塊みたいなジャジャ馬感がなく、マイルドで扱いやすいのだ。規制に縛られている現代のオートバイだが、XJR1300の排気音はなかなかのものだ。1本出しになったマフラーからは、迫力のあるエキゾーストノートが楽しめた。音量が大きいわけではないが、音の質にビートが効いていて心に響く。大排気量車の迫力、直4エンジンの軽快さ、その両方を堂々と奏でている。これは紛れもなく集合管ならではのサウンド。やるなぁ、ヤマハの技術陣!

 

高速道路に上がっても、いたって元気。お巡りさんの厄介にならないような常識的な速度域ではエンジンも車体もまだまだポテンシャルを秘めているが、ノンビリとクルージングするのも得意なようだ。メガクルーザーのようなハイスピードでの移動ではなく、景色を楽しみながらのじっくりと走る長距離ツーリングにボクなら使いたい。空冷エンジンだからといって気になるような振動はないし、パワー不足を感じることもない。ただし、ひとたびアクセルをワイドオープンし、追い越し車線を吹っ飛んで行くと、上半身にもろにかかる風圧を受け止めなくてはならず、正直しんどい。しかし、これはネイキッドバイクの宿命で、これを楽しいと感じられるかどうかだ。もちろんボクは楽しいし、常識的な速度で走る心のブレーキでもあるように思う。ボクの中では「オートバイとはこういうものだ」と簡単に結論づけられる。ちなみに純正オプションにビキニカウルが用意されているが、これは実用的でよく考えられた設定だ。装着してもカッコイイし、高速巡航もだいぶ楽になる。

 

オーリンズのサスをはじめとした足まわりの良さはワインディングで明確に感じる。適度に動いて接地感を感じられるから、アクセルをどんどん開けて行ける。ブレーキのタッチもよく、コントロール性は高い。コーナーの入口など、しっかり減速したい時にブレーキングがしっかり行えるのだ。それは元国際A級でもなく、ロードレース経験者でもない平凡なサンデーライダーであるボクでも感じることができる。市街地から高速道路、ワインディングに至るまでオールマイティに高次元な走りを実現するXJR1300。トータルバランスに優れるとは、こういうバイクのことを言うんだろうな。

最上級のオーリンズのリヤショックを装備
シートや細部からスポーツマインドを感じる

シンプルな車体に搭載されるエンジンは、伝統ある空冷直列4気筒エンジン。2008年9月より施行される国内新排ガス規制に対応するため、2007年モデルよりフューエルインジェクションが採用されている。XJR1300は新世代へと突入している。マフラーも右側1本出し(4-2-1)となり、吸排気系を一新。リヤサスペンションは、20段の圧側減衰調整が可能なオーリンズ製の最上級バージョンをベースに、新たに専用セッティングしたものが奢られていて、このモデルチェンジに対するメーカーの熱意みたいなものを感じる。シートは形状を見直し、積極的に体重移動が出来るスポーティな路線に。シート高が20mmアップした分、サイドカバーの幅を絞り込んで足つき性を犠牲にしていない。ディテールに目をやると、前後ウインカーをクリアレンズタイプに、テールライトを横2眼のLEDタイプに変更。こういったところからもスポーティさを演出しているニューXJR1300。エンジン、車体に抜かりはない。スポーツマインドを前面に押し出してきたという印象だ。

ポイント

13年目の空冷エンジン

エンジンは頑として空冷式にこだわった。従来のキャブレター方式から、サブスロットルバルブ方式のフューエルインジェクションを採用。年々厳しくなる排ガス規制にも対応されている。

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ポイント

形状を見直したシート

形状を見直したシートは、よりスポーツ志向なものにチェンジされている。シート高は20mmアップしたが、サイドカバーを絞り込むことで足つき性は悪化していないのがウレシイところ。

ポイント

マフラー&サスペンション

4-2-1の新作マフラーは、大排気量のバイクらしい迫力のあるエキゾーストノートを奏でてくれる。リヤショックは『オーリンズ』。なんと、最高級グレードのものが採用されている。

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ポイント

スポーティなテールライト

テールライトは横2眼のLEDタイプを新たに採用している。印象的なリアビューと高い被視認性を実現した。ウインカーもクリアレンズ化され、よりスポーツマインドを感じさせてくれるモデルとなった。

XJR1300

ライディング状況生まれ変わったフラッグシップネイキッド。2006年末に大きなモデルチェンジを経て更なる進化を見せる。登場から13年目となる今も揺ぎ無い人気を誇り、熱烈なファンが多い。

DATA--

■エンジン=空冷4ストロークDOHC4バルブ 1250cc
■最高出力=100ps/8,000rpm ■最大トルク=100Nm/6,000rpm
■価格=\1,081,500(税込)
「XJR1300」の詳細情報を見る(バイクブロス)

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青木 タカオ

青木 タカオ

バイク雑誌編集部員を経て、現在はフリーライター/編集者として、あらゆる二輪雑誌に携わる。16歳で中型二輪免許を取得し、18歳で限定解除。高校生の頃から日本全国を駆け回り、アメリカやタイなど海外ツーリングの経験も。