バージンバイク
キャラクター&歴史

90年代後半のカスタムシーンは
“ティーダブ”一色だった

1990年代後半、ストリートバイク系で一世を風靡したのが今回紹介する「TW」シリーズだ。当時はこのTWシリーズのことを「ティーダブ」と言い、このバイクに乗っているライダーを「ティーダバー」と呼んだ!?ものだ。ストリートカスタムのルーツとも言え、片っ端からパーツを外していくチューニング「スカチューン」という言葉を生み、薄っぺらなシートとタイヤくらいしか見えないリヤ周りは、いかに長い「ロンスイ」(注:ロングなスイングアームだからロンスイ)にするかでカスタム度が競われた。その当時、ハッキリ言って私はノーマルのTWを見たことがなかったと言うくらい。まさにネコも杓子もTWをカスタムした時代があった。また、このTWをさらに世間に知らしめたのが、2000年に放映された「ビューティフルライフ」というドラマ。キムタク演じる沖島柊二という美容師がカスタムしたTWをドラマ内で使っていたため、バイク初心者があの劇中に出てきた状態のTWを求めてバイク屋に押し寄せたとも言われている。こうした若者を中心にしたブームは、その後「SR」、そして現在のビッグスクーターへと受け継がれていく。実は正直なところ実際に試乗車のTW225Eに乗るまで、きちんとTWに向き合ったことがなった。それだけに、20周年を迎えながらも排ガス規制によって現在のモデルで生産終了となってしまったこの名車に、改めて向き合ってみたい。

特徴

オフロードバイクの車体に
ビッグバイク並みの極太タイヤ

車輌詳細TW225Eは、1987年に当時ヤマハのトレール車だったXT200のエンジンをベースに、よりファンライドを目的としたモデルとして登場。コンパクトな車体に不釣合いなくらいファットなキャラメルパターンの前後タイヤが個性的なモデルだった。ただ、なぜかこうした個性は大きく注目されることなく、90年代後半のティーダブブームまでは不遇の!?時代を送っている。2002年に大幅なモデルチェンジが行われ、200ccエンジンは当時のセローと同じ223ccに拡大。フロントにディスクブレーキを装備し、カスタムのために真っ先に取り外されてしまっていたリヤキャリアを廃したシンプルなテール周りのデザインに変更された。その後、セローはトリッカーなどと同じ新世代の250ccエンジンを積むようになったので、1987年にTWが登場した当時のXTシリーズの面影を残すのは、唯一このTWだけになってしまった(そのために生産終了となってしまったわけでもあるが…)。

 

TWを強烈に印象付けるタイヤはフロントが130/80-18、リヤが180/80-14とビッグバイク並みの太さを誇る。2002年まではオフロードライクなパターンだったが、当時はほとんどロードで使われていたこともあって、亀甲模様を生かしつつストリートライクなパターンとなっている。そのためロードでも走りやすい。車体は1987年当時のXTをベースにしており、車体上半分のスタイルはオフロードバイクそのもの。発売当初は80年代らしいスクエアなヘッドライトとライトカウルを備えていたが、その後シンプルな丸目一灯と小さなメーターの組み合わせになり、それ以前のトレールモデルっぽい雰囲気を醸し出す。2007年にTWが誕生から20周年を迎えるにあたり登場した、「20th Anniversary Special Edition」は、オレンジと紫のグラフィックが与えられ、フレームの塗装やホイールのピンストライプ、クロームメッキのヘッドライトなど(車体色によってこれらの仕様を組み合わせる)によって高い質感が与えられている。

 

ポイント

223cc空冷単気筒エンジン

1987年に登場した当時から排気量アップを経て受け継がれる223cc空冷単気筒エンジン。比較的ショートなミッションの味付けが、タウンユースに最適なキャラクターとなっている。

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ポイント

20周年記念のオリジナルカラー

ボディカラーは単色の白と黒のほかに、20th Anniversary Special Editionとしてオレンジ×白と紺×シルバーがある。タンクのグラフィックスは水張り転写による上質な仕上がり。

ポイント

個性的な前後の極太タイヤ

TWを特徴付ける前後の極太タイヤ。特にリヤタイヤは180サイズの幅を80扁平とするために14インチというサイズになっている。リムのピンストライプが足元を引き締める。

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ポイント

シンプルなヘッドライト

プレーンな丸型ヘッドライトに小型のフラッシャーを組み合わせるフロントマスクは、どこか70年代のトレール車の雰囲気を醸し出す。メーターも小型でシンプルなデザインとなっている。

試乗インプレッション

ロードバイク的な走りを持つ
上質な佇まいの20周年記念モデル

車輌詳細これまで僕にとってTWといえば、渋谷の道に無秩序に路駐され、都心の街中を、爆音を上げて走っている、大人は近寄りづらいバイクというイメージしかなかった。それもこれらのバイクはみなスカチューンによって原型をとどめでおらず、“正しいTW”をまじまじと見たのはこれが初めて。それがこの20周年記念モデルだったから、TWも襟を正せばなかなか味のあるバイクじゃないかと思ったのである。今回試乗したのはオレンジだったが、フレームやスイングアームに至るまで綺麗な白に塗装され、前後のリムにはピンストライプまで入れられている。アメリカンテイスト溢れるグラフィックは、いずれも水張り転写によるもので、とても上質な佇まいを見せる。

 

車輌詳細ポジションはオフロードバイクそのものだが、決してシート高は高くはない。小柄な僕でもギリギリ両つま先が着く程度に抑えられており、軽い車体と相まって扱いやすい。サスペンションはストロークが短く、舗装路を走るタウンユースには最適。動きも押さえ込まれていて、姿こそオフロードライクだが、走りはどちらかというとロードバイク的な感じだった。エンジンは単気筒225ccらしく回して走るキャラクターで、ギア比も相当高めに設定してあるのか、巡航は60kmぐらいまでが気持ちいい。高速に乗ってこれ以上のスピードで走ろうとすると、トップギアに入れた後はエンジンの回転が上がるにつれエンジン音もうるさくなっていくためちょっとツライ。だからこそ、このTWはストリートカスタムの素材として重宝されたのかもしれない。

こんな方にオススメ

コンパクトな車体と扱いやすさが
街中を快活に走るのに最適なモデル

足付きのいい790mmというシート高、わずか120kgという乾燥重量、52°というトライアル車並みのハンドル舵角、そして低速中心に扱いやすいエンジンと、これらのメリットを生かせば、街中を快活に楽しく走れるはずだ。これらはすべてオフロードバイク特徴そのもの。今でこそ舗装路を走るオフロードバイクという意味では、各社からモタード車がリースされているが、TWはまさにその走りとも言うべき存在だろう。確かに今となってはこれをスカチューンしてカスタムするのは流行に乗り遅れた感があるが、気軽に乗れるロードバイクとして街乗りに使うのには最適なモデルだ。特に20周年記念モデルはこだわりのディテールを持っていて、眺めているとオーナーの所有欲を満たしてくれることだろう。

総合評価

これからもあり続けて欲しい
エッと思わせる個性的なスタイル

先ごろ施行された排ガス規制によってこのTW225Eは生産終了となってしまった。聞くところによると、兄弟車であったセローはトリッカーなどと同じ新しい世代の250ccエンジンになったため環境仕様に対応できるが、基本設計が20年以上前のエンジンを積むTWは、今の基準をクリアするのは極めて難しいということらしい。そのため、今回試乗した20周年記念モデルが、事実上、TWシリーズの有終の美を飾ったことになるだろう。そのことが頭にあるのかもしれないが、記念モデルのオレンジのグラフィックスはとても格好よく、また、そのつくりも上質でちゃんと大人でも趣味性が感じられるものになっていた。誤解を恐れずに言うと、これまでTWといえばギタギタに切った貼ったされたバイクしか見たことがなかっただけに、このノーマルの佇まいが「あ、TWってこんなバイクだったんだ」と新鮮で、僕の中では以前に比べてとてもいヨイ物に見えたのである。今の世の中、右を見ても左を見ても同じようなデザインのものが蔓延する中で、こうした“エッ”と思わせるバイクはぜひ今後もあって欲しいと思う。

TW225E 20th Anniversary Special Edition

モデルイメージ1987年に登場した、オフロードモデルに極太タイヤを組み合わせてファンライドをイメージさせた個性的なモデル。90年代後半にはティーダバーブームを巻き起こした。2007年に誕生から20年周年を迎えたロングセラー。

DATA--

■エンジン=空冷4ストローク単気筒 223cc
■最高出力=18ps/7,500rpm ■最大トルク=18N・m/6000rpm
■価格=¥399,000(税込 20th アニバーサリーモデル)
      ¥358,050(税込 スタンダードモデル)
「TW225E」の詳細情報を見る(バイクブロス)

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八百山ゆーすけ

八百山ゆーすけ

バイク、カメラ、ケータイ、パソコンなど、幅広いジャンルを手がけるライター/編集者。“公称身長160cm未満”を生かし、女性や小柄なライダーに役立つ視点を持つ。長距離ツーリングからサーキットまでどっぷりバイクに漬かる人生。