キングオブマウンテンロード
TDMの最新モデル
パリダカレプリカXTZ750スーパーテネレをベースに、排気量を拡大したエンジンを搭載したTDM850がデビューしたのは1991年。ヨーロッパで需要の高い、ワインディングと市街地の石畳での快適性を両立させた「キング・オブ・マウンテンロード」をコンセプトに輸出が開始されたが、そのスタイリングは日本国内のライダーにも注目を浴びることになる。その後、エンジンや外観デザインにマイナーチェンジが加わり、2002年には排気量を900ccにアップ。吸気系にインジェクションを採用し、さらに曲線を強調した外観となってリニューアルされ、現在に至っている。そのスタイリングや車高の高さなどから、デュアルパーパスモデルという区分がされることもあるTDMだが、基本的にはアスファルトのマウンテンロードをターゲットにした、ロードモデルである。
歴史あるスリムなビッグツインを
最新のフレームと外装が包む
登場以来何度かマイナーチェンジ、モデルチェンジを繰り返しているTDMだが、スタイリングが変わっても、そのコンセプトは不変。フロントまわりにボリューム感を集めた車体が、ヨーロピアンツアラーらしさを強調している。現在搭載されるエンジンも、DOHCツインであることは不変ながら、欧州排出ガス基準「EURO3」に適合させるため、エアインダクションシステムとキャタライザーを装備。ロングランでの快適性を進化させながら、環境性能にも配慮されている。エンジン心臓部にはアルミ鍛造ピストン、メッキシリンダー、浸炭コンロッドが採用され、ツインらしいパルス感やレスポンス、歯切れのいいエキゾーストノートなど、操る楽しさを存分に堪能できるはずだ。86PSの出力を持つエンジンに対して、ブレーキの制動力も秀逸。ハイスピードツアラーとして人気の高いため、フロントはダブルディスクブレーキを採用し、しっかりとした制動力が確保されている。
低く抑えられたシート高やスッキリとしたデザインのリヤまわりは、パッセンジャーの快適性やパニアケースの装着なども考慮された設計となっており、走りを楽しめるロングツアラーらしさがうかがえる。また、前後に採用されるキャストホイールは、YZF-Rシリーズと同様の手法で軽量化が図られ、ロードモデルとしてのパフォーマンスを追求している。ツリ目のヘッドライトなど、フロントマスクからタンクへと流れるラインは他のバイクにはない特徴だ。メーカーがニューエッジフォルムと呼ぶこのワイルドな外観は、ライダーが跨ることで全体のバランスを整えるコンセプトになっているという。
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より扱いやすくなった ビッグツインエンジン
アルミ鍛造ピストン、メッキシリンダー、浸炭コンロッドを採用したDOHC5バルブのビッグツインエンジン。スリムなエンジン形状はTDMのキャラクターを形づくる大きなポイント。 |
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見やすく、かつスポーティな 3連メーターを採用
無駄がないデザインのメーター周り。タコメーターはアナログ針式、スピードメーターはデジタル表示となっており、非常に見やすい。燃料計はデジタル表示内のスピードの下に表示される。 |
どこまでも走れそうな気になる
装備とスタイリング
フロントにボリューム感が集まるTDMのスタイリング。しかし、車格のわりに低めに設定されたシート高のおかげで、乗り降りはスムーズ。跨ってエンジンをかけてみると、まずは非常に静かな音に驚かされた。数回空ぶかしをしてみると、ツインらしいフィーリングを残しながら、非常にマイルドに吹け上がる感じ。やや挑戦的なスタイルに見えるTDMだが、エンジンのフィーリングに関しては「ジェントル」という言葉がふさわしいように思えてきた。押し引きをしてみると、心地よい裏切りがもうひとつあった。それはスタイリングから想像するマシンの重さが感じられないこと。車高のわりに幅が狭めなハンドルなのだが、押し引きだけでなく、切り返しも軽い感じ。その走りにも期待が高まってくる。
まずは市街地をゆっくり流し始めてみると、やはり最初に感じたのはマシンの軽さだった。「ジェントル」なエンジンは極低速でも扱いやすく、クルマとクルマの間を抜けながらのストップ&ゴーも不安なし。幅が狭めなハンドルが、逆に安心感につながってくるほどだ。市街地を抜けてワインディングへと足を伸ばしてみる。アクセルをやや開け気味にして各ギヤで引っ張ってみると、ツインらしさが薄れてくるものの、塊感のある加速が味わえる。スムーズでありながら、「気が付いたらスピードが出ている」ではなく、「開けたぶん加速している」感じが味わえるのだ。コーナーにさしかかっても、入り口での倒し込みの感じ、バンク中の安定感、立ち上がりの気持ちよさなど、キング・オブ・マウンテンロードの名にふさわしいもの。スーパースポーツのようなエッジ感こそないが、TDMが持つ抜群の安定感と楽しさは、唯一無二のものだと感じられる。
独自のボリューム感を
手の内におさめる快感
車格のわりに低い825mmというシート高と取りまわしの軽さには、あらゆるライダーを受け入れる優しさがある。TDMに興味のある小柄なライダーが、足つきなどを気にしてあきらめてしまうのは、ちょっともったいないかもしれない。走り出せばもちろん気にならない重さ、高速道路での安定感、そして街中での扱いやすさは、乗ってみないとわからない。アピールのあるこのスタイリングに惹かれたなら、跨ってみるべきだし、可能であれば走ってみるべき。TDMを愛するユーザーが多い理由をきっと実感できるはずだ。
唯一無二のスタイリングと
圧倒的なツアラー性能
1台のマシンを、何にでも使いたい。そんなわがままライダーの声に応えてくれるマシン、それがTDM900だ。ロングツーリングでの快適さだけでなく、スポーツ的な走りも楽しく、そのうえ渋滞した市街地でも扱いやすい。ただひとつ難点をあげるなら、それはハンドルがやや遠めなこと。シートの自然な位置に座ると、ちょっと手を伸ばしてハンドルを握る感じになる。しかしこれはマウントの変更などで十分対処できるところ。実際に跨り、走ってみて自分なりのポジションを見つけてほしい。大きめに見える車格に臆することなく、じかに触れてみていただきたいマシンだ。
TDM900
初期型の登場から17年、排気量だけでなく各部に熟成が加わるオンロードツアラー。空力を重視する大型フェアリング、二灯式ヘッドライト、ボリューム感あるタンクなど、TDMらしさを踏襲し続けており、根強いファンの多いモデル。
DATA--
■エンジン=水冷4ストロークDOHC5バルブ・並列2気筒897cc
■最高出力=86PS/7,500rpm ■最大トルク=88.8N・m/6,000rpm
■価格=¥997,500(プレスト参考小売価格)
■「TDM900」の詳細情報を見る(バイクブロス)