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昔からの乗り味や作りを残しつつ
現代でも通用するショベルヘッド

「ドロッ、ドロッ、ドロッ」と、独特のビートを奏でるハーレーダビッドソンのVツインエンジン。ハーレーといえば、バイクに関心がない人もその名前だけは知っているほど、誰しもが認めるバイクの王様である。いかにもオートバイというスタイルは昔から変わらず、最新モデルでも十分にその雰囲気を楽しむことができる。しかし、「旧いハーレーにこそ、イメージしていた“ハーレーらしさ”がある」というハーレー乗りも多い。中でも1984年まで製造された「ショベルヘッド」は、昔ながらのエンジンのデザインやフィーリングから人気が高い。そんな“ショベル”の魅力を、個性的な旧いハーレーのカスタムを手がけるテイストコンセプトモーターサイクルの代表、河内山智さんに伺った。

カスタムしては売って
また次のポンコツを買う繰り返し

イメージ音楽を志していた十代の私にとっては「ギブソン」や「マーチン」といったギターとともに、ハーレーはお金持ちの高級品と思っていました。高校生の時には周りのバイク仲間と同じように、カワサキの「RS750」や「マッハ」に乗っていましたが、当時はアメリカのものに憧れていましたね。実際「ハーレーに乗りたい」と強く思うようになったのが、映画『イージーライダー』を見てからです。それから「チョッパー」スタイルに興味が出ましてね。トライアンフなどハーレー以外のバイクでも考えましたが、やはりチョッパーで一番画になるのはハーレーのVツインだろう、と思ったんですよ。ハーレー=オリジナルではなくて、チョッパーの素材としてハーレーに憧れていたわけです。

 

22、23歳くらいのときにはどうしてもハーレーをいじりたくて、求人広告で見つけた輸入オートバイ販売店に入社。3ヶ月の試用期間の1ヵ月半でクビになりましたけどね(笑)。そのときにポンコツのショベルヘッドを買ったのが、自分自身のハーレーの最初です。ショベルヘッドの中でも’79年モデルのローライダーでした。もちろん当時の私が買えたのは中古ですよ。いや、中古以下のポンコツでしたね(笑)。ショベルを手に入れてからはとにかくイジくり倒しました。当時の“カスタム”といえば、ひたすらメーカーのオリジナルから離れることで、ウィンカーを小さくしたりタンクを小さいのにするというのは序の口。「純正のCCバーがダサイから変えちゃう」、「フロントフェンダーは切って捨てちゃう」、「ノーマルのカラーリングはイヤだから剥離材をぶっかけて違う色にする」という風に、ひたすらどれだけ違うものにするか、ということをやっていました。

 

そうやってカスタムしていくと、だいたい目処が立ったところで次のが欲しくなってくるんですね。もともと好奇心の塊がゆえにイジるのを始めたので、ある程度のところで見切ってしまうんです。それで、「ショベルといえばFLHだ」ということで、しっかりカスタムしてあるローライダーとボロボロのFLHを交換して、また最初から始めました。そんな感じで、バックヤードビルダーとして自分の好きなハーレーを作っては売って、次のを買ってはまたカスタムしていく、ということを繰り返してきた結果が今ですね(笑)。

エボやツインカムにはない
振動、たてつけ上の音、不具合の匂い

イメージ私が感じるショベルヘッドの魅力は“振動”バイブレーションと、“たてつけ上の音”、そして多少の“不具合の匂い”ですね。よくハーレーのエンジンのフィーリングを表すのに鼓動という言葉が使われますが、私はそれよりも振動という表現の方が合っていると思います。そして、いろいろなパーツがカタカタ動く。これが走り出すと、あっちこっちから聞こえてきます。さらに匂い。走っていると、エボリューションにはないけれど、ショベルは昔のハーレーの匂いがするんですよ。それは、少しガソリンがオーバーフローしていたり、にじみ出たオイルが固着したものや、やや濃いキャブセッティングから生まれるガソリン混じりの排気の匂いとか。そういう、いわば本当は匂いがしてはダメなものが匂ってくるんです。こういった“五感に響く”ものが、今のエボリューションやツインカムにはないところだと思います。

 

ショベルヘッドは1979年モデルで、それ以前の1200ccから1340ccへと排気量が大きくなっています。この1978年以前のショベルは、ハーレーに1200ccが誕生した1941年からのものをいろいろな意味で受け継いでいるんですね。そういう意味で、1340ccに対して昔からの乗り味というのがなんとなく感じられますね。1941年から何十年もやってきて熟成したものを感じることができるのがひとつの魅力だと思います。また、フレームの形やリヤフェンダーが分割式でタイヤを外すときにパカンと開くスタイルのものだったり、Tバーを使って昔のシートポストがボルトオンで付く、といった、デュオグライドの時代の名残がしっかり残っているのも、オールドハーレー志向には魅力ですね。一方1340ccはやはり排気量が大きい分、歯切れのよさがあります。タイヤが地面を蹴る感じとか、角の取れた1200ccに対して今風なパワー感のエンジンになっています。

河内山さんに訊く!
ビギナーにオススメなHarley-Davidson

ショップマスターショベルヘッドは、比較的コンディションのいい状態で手に入るモデルです。オリジナルペイントのものを探すことができたり、ちゃんとリペアが施されているものもたくさんあります。もちろん、中には結構いじってあるものもあります。ただ、こうしたオーナー本人のライフスタイルが前に出すぎてしまっているバイクは、ダメージが大きいことが多いですね。いわばオーナーの看板として酷使されていることがあるからです。一方、オリジナルペイントやパーツがしっかり残っているものは、そういうものが保管できる環境にあったわけで、メインテナンスもディーラーなどでしっかり行われている可能性があります。新車時から付いていた部品がずっとしがみついていたということは、今は劣化して使い物にならなくても、外される環境になかった、酷使される環境になかったということで、もう一度メンテナンスすることで、かなりいい状況で乗れると思います。

 

そういう意味でも、とにかく調子のいいものを手に入れることがとても大事です。もちろん「FX系のローライダーが格好いい」、「やっぱりハーレーらしいFLH系がいい」、「ツーリングを考えるとツアラーが欲しい」といったモデルの好みはあると思います。でも、その中では年式にこだわらずに一番調子のいいものを買ったほうがいいですね。というのも、「“調子がいい=健康状態”で、後から直したものとは違いがある」と私は思っているんです。新車から廃車までのバイクのコンディションのグラフを描くと、直線が右に進むに連れて下がっていきます。途中で修理をするとその坂を再び左に上るわけですが、そもそもその“坂が緩い=調子がいい”もののほうが、同じ修理をしてもより長く楽しめるわけです。

 

もちろんショベルは20〜40年ものの中古ですから、ちゃんとしたケアが必要になってきます。ただし、それが大変だと感じるほど厄介なものではないと思います。プライスしかり、コンディションしかりで、しかるべきショップでいいものを手に入れれば、十分楽しむことができるバイクです。ただ、新車ではありませんから買ったときがコンディションのピークだと思って欲しくありません。手に入れたときからマイナートラブルを少しずつ治していって、自分のものにしていけば楽しいですよ。自分の大好きなアイテムとして愛情を入れる=手を入れていくことで、より良いものにしていくのは楽しいでしょ。

愛車DATA --

ポルシェが開発した水冷DOHC4バルブVツイン「レボリューション」エンジンを、独自の三次元製法で生み出したダブルクレードルフレーム積んだ新世代のスポーツハーレー。ロング&ローのフォルムに近未来的なデザインを組み合わせた個性的なスタイルを持つ。河内山さんの愛車はフロントホイールを5本スポークのものに換装し、インジェクションコントローラーを付けて燃調を変えられるようにしてある。まずはベースモデルについて熟知するために試行錯誤中で、カスタムはまだまだこれからという状態。3月に息子さんも色違いのV-RODを購入した。

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ショップイメージ

TASTE CONCEPT MOTOR CYCLE

東京・八王子郊外の住宅地にあるハーレーダビッドソン専門のカスタムショップ。コンプリートだけでなく、ライトカスタムからメインテナンス、ワンオフパーツ製作まで幅広く対応する。河内山智氏と子息の友郎氏の2人で運営する。

 

東京都八王子市川町244-286

営業:10:00〜20:00

電話:0426-52-5491

休日:水曜日

URL:ウェブサイト(外部リンク)